artscapeレビュー

内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している

2010年02月01日号

会期:2009/11/14~2010/01/24

神奈川県立近代美術館/鎌倉館[神奈川県]

内藤礼の個展。糸やテープ、リボン、ビーズ、テグス、そして透明なガラス瓶など、繊細な素材を組み合わせたインスタレーションなど9点を発表した。ガラスの奥の展示スペースに観客を誘い入れたり、青空の真ん中でひらひらと舞うリボンを見上げさせるなど、私と世界のひそやかな関係性を追究してきた内藤ならではの展観で、おもしろい。リボンの向こうの青空を数匹のトンビがゆっくりと旋回していた光景は、どんな絵画作品よりも美しく、同時に美術のはかなさをも暗示していた。ただ、見方を変えれば、内藤のような静かではかない作品は、展覧会を企画する側にとって経済的に安上がりで、好都合なのだろう。絵画や彫刻のように大きな輸送費もかからず、映像のようにプロジェクターを何台も用意しなければならないわけでもない。今後も改善される見込みがないデフレ時代においては、こうした類の現代アートが主流になるのかもしれない。

2010/01/13(水)(福住廉)

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