artscapeレビュー

『la ville franchisée』

2010年02月15日号

発行所:Edition de la Villette

発行日:2004年

ダヴィッド・マンジャンによる現代都市論。マンジャンは、SEURAの代表であり、レ・アールの再開発コンペで、OMA、アトリエ・ジャン・ヌーヴェル、MVRDVらに勝った、フランスで注目の都市計画家、建築家である。スプロール化しつつ郊外に広がるフランスのメトロポリスは、都市でも田舎でもない新しいハイブリッドな領域をつくり出している。本書は、都市の形態に注目しながら、そのようなフランスの都市的状況の背後にあるメカニズムを明らかにしている。マンジャンは、都市周辺部のいたるところで、道路網インフラ、戸建住宅地、郊外型ショッピングセンターという三つの組み合わせがあることに注目する。そして、ヨーロッパの都市だけではなく、アジア、アメリカ、アフリカの都市とも比較しつつ、それらが組み合わされた効果を検証する。特に都市形態に注目している点では、フィリップ・パヌレらによる名著”Formes urbaines de l' lot la barre”(邦訳『住環境の都市形態』)を意識しているといえるであろう。本書はフランスにおける都市論の新しい必携本になるかもしれない。

2010/01/04(月)(松田達)

2010年02月15日号の
artscapeレビュー