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『山と建築』vol.1「スイスと日本の山岳建築」

2010年02月15日号

発行所:信州大学工学部建築学科土本研究室

発行日:2009年12月25日

信州大学で行なわれた国際山岳建築シンポジウム信州2008の記録をベースにした本。おそらく普通は目につかない本であろうから、ここで紹介したい。スイスからは、グラウビュンデン州の建築家アルマンド・ルイネッリと、美術史家レッツア・ドッシュが来日した。グラウビュンデン州は、ピーター・ズントーを生んだ土地で、また多くの質の高い建築もある。 日本からは、信州大学の坂牛卓、梅干野成央らが参加し、土本俊和がコーディネートを務めた。グラウビュンデン州はアルプスに囲まれ、独特の地域的な文化を育んできた。その山岳建築と、長野県を中心とした日本アルプスの山岳建築を比較するという、一見アクロバティックであるが、興味深い試み。実際、いくつかの共通点が見いだされている。そして距離的に離れたローカルな場所同士をつなぐ試みともいえよう。

2010/01/22(金)(松田達)

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