artscapeレビュー

まばゆい、がらんどう

2010年02月15日号

会期:2010/01/06~2010/01/20

東京藝術大学大学美術館 展示室1[東京都]

「絵画、彫刻、写真、映像、音響、インスタレーションなど、さまざまな手法を横断する作家による尖鋭な作品を紹介し、“アート”とテクノロジーの可能性を探る」という趣旨で、東京藝術大学写真センターの椎木静寧が企画・構成した現代美術のグループ展。出品作家は、志水児王、鷹野隆大、高嶺格、谷山恭子、玉井健司、平野治朗、森弘治の7人である。
志水のレーザー光線を使った繊細な光のインスタレーション、谷山の柔らかに伸び広がっていく有機的なオブジェの構成など、面白い作品もあるのだが、あまりにも手法、テーマがバラバラ過ぎて展覧会全体の輪郭がうまく像を結ばなかった。「まばゆい、がらんどう」というなかなかいいタイトルも、あまりぴったりフィットしているとは思えない。出品作家の中で唯一の写真家である鷹野隆大は《男の乗り方》シリーズと《ヨコたわるラフ》シリーズから、ロールサイズに大きく引き伸ばしたモノクローム・プリントを出品していた。これも技術的な問題のためなのか、いつもののびのびとした展示の効果が充分に発揮されているようには見えなかったのが残念だ。鷹野はこの所、息を継ぐ間もなく展覧会や写真集の出版が続いている。小休止が必要な時期に来ているのかもしれない。

2010/01/06(水)(飯沢耕太郎)

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