artscapeレビュー

森川穣 確かなこと

2010年03月01日号

会期:2010/02/05~2010/02/24

京都芸術センター ギャラリー南[京都府]

ホワイトキューブの壁面に黒い線が水平状に走っている。近づいてよく見てみると、それは壁に開けられたスリットで、中には石や紙くず、ほこりなどが入っている。まるでふだんは閉じられている天井裏を覗き込むような経験だったが、これらは会場である京都芸術センターの床下から拾い集められたものだという。通常は上や下に隠されている世界を、水平方向から見ることによって、それらが日常生活の文字どおり隣に存在していることを実感させられた。たとえば「死」のような、見えない世界は、じつはすぐ真横にあるのかもしれない。

2010/02/09(火)(福住廉)

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