artscapeレビュー

磯崎新+浅田彰編『ビルディングの終わり、アーキテクチュアの始まり』

2010年03月15日号

発行所:鹿島出版会

発行日:2010年1月30日

本書は、全10回のAnyコンファレンスにおける定番の出し物、磯崎新と浅田彰による掛けあいのプレゼンテーションを再収録し、巻頭と巻末にそれぞれのエッセイを加えたものである。それぞれの討議から切り離して、二人によるトークの部分だけを改めて通読すると、そのときどきに磯崎が関与していた著作、プロジェクト、展覧会などをトピックとしつつ、浅田が注釈を入れるかたちで進行していたことがよくわかる。キーワードに注目すると、「デミウルゴス」「島」「ネットワーク」「分子的」などが挙げられるだろう。やはり、90年代の急激な情報化を引き受けつつも、建築の概念を問うている。Any会議の終了後、言説のシーンは変貌し、ゼロ年代において、アイコン建築やアルゴリズムの問題系が浮上するわけだが、そこへの助走として読むこともできるだろう。

2010/01/31(日)(五十嵐太郎)

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