artscapeレビュー

本田征爾 展──箱夢語り

2010年03月15日号

会期:2010/02/01~2010/02/13

乙画廊[大阪府]

札幌在住の作家・本田征爾。まぐろ調査船に長期乗船し、船上生活のなかで描いた水彩や色鉛筆の作品を発表して以来、最近はこの時期に毎年大阪で個展を開催している。現在、作家が暮らす北海道という土地もだが、私が経験したことのない光景や見たこともない生きものを目にしてきた彼の作品を見に行くといつも胸が躍る。今展では、色彩や技法など、テクニックの面での上達がうかがえた。また、これまでは、実在の海の生物からインスパイアされた、なんとも奇妙でグロテスクな生きものが数々描かれていたが、今展ではそれらに代わってネコや建物などをモチーフにした風景が描かれていて、内容にも変化が見られた。全体に洗練された印象がある反面、少し不気味でファンタスティックな独特の持ち味が薄れた気もした。今回、作家から話を聞かずに会場を後にしてしまい少し後悔。でも次回の個展を訪れるときの楽しみにしておこう。

2010/02/13(土)(酒井千穂)

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