artscapeレビュー

かなもりゆうこ展 物語─トショモノ

2010年04月01日号

会期:2010/03/08~2010/03/27

ギャラリーほそかわ[大阪府]

親密な友人たちとの交流を撮影し、ドキュメントとフィクションの中間的な映像作品をつくってきたかなもりだが、新作はやや映画よりで、ストーリー性のある物語が綴られていた。映像は壁面と見開いた書籍に投影されており、作品中に登場する衣装や書籍が展示室に配置されている。また、作品の一部が本展会場で撮影されていることもあり、映像空間と現実空間の境界が曖昧なのだ。これまでの作品がドキュメントとリアルの境界を彷徨っていたとしたら、本作はスクリーンの向こう側と手前側の往還がテーマである。かなもりはまたひとつ新たな彼女独自の文法を獲得した。

2010/03/08(月)(小吹隆文)

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