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artscapeレビュー

ピンホール・フォトフェスティバル2010 in 九州

2010年07月15日号

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会期:2010/06/01~2010/06/20

共星の里・黒川INN美術館[福岡県]

京都造形大学教授の鈴鹿芳康を中心に2007年に設立されたピンホール写真芸術学会。やや仰々しい名称だが、要するに写真の原点というべきピンホール(針穴)写真の愛好者が集まって、情報を交換しつつ楽しんでいこうという集まりである。その年一回の総会と展覧会を中心とする「ピンホール・フォトフェスティバル」が、廃校になった小学校の建物を利用してユニークな活動を展開している共星の里・黒川INN美術館(福岡県朝倉市、アート・ディレクターはアメリカから帰国した柳和暢)で開催された。
6月12日のシンポジウム「スローライフとピンホール写真」にパネラーとして参加したのだが、たしかにどんな明るい場所でも数秒から数10秒の露出時間がかかるピンホール写真は「スローライフ」ならぬ「スローフォト」の象徴といえるかもしれない。デジタル化の急速な進行の裏で、ピンホール写真芸術学会の会員もコンスタントに増えて、180名を超えたという。展覧会に出品された会員の作品も、風景あり、人物あり、静物ありとかなり幅広い被写体を扱っており、コラージュ的な画面構成を試みるなど、旺盛な実験意識が見られた。「日本一のホタルの里」という周囲の自然環境も、作品とぴったりシンクロしていたと思う。来年の「ピンホール・フォトフェスティバル」は横浜で開催される予定という。各地の地域密着型のアート・プログラムと連携していくことで、さらに大きな活動の広がりが期待できるのではないだろうか。

2010/06/12(土)(飯沢耕太郎)

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