artscapeレビュー

「小屋丸:冬と春」試写会

2010年07月15日号

会期:2010/06/15

映画美学校試写室[東京都]

2003年の越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」で、十日町市の小屋丸集落に《リトル・ユートピアン・ハウス》をつくったジャン=ミッシェル・アルベローラが、その小屋丸の厳しい冬を撮ったドキュメンタリー映画。テーマはひとことでいえば、キャッチコピーにあるように「なつかしいユートピアがここにある」。出てくるのはじいちゃんばあちゃんばっかだし、もともとモノクロに近い雪国をモノクロで撮っているので、エンタテインメントにはほど遠い映画ではある。が、だからつまらないかといえばそうではなく、その情報の少なさや田舎的時間の流れが逆に見る者を覚醒させ、近ごろ珍しくモノクロームな気分に染め上げてくれる。まあ越後妻有にもアルベローラにも地域文化にも興味なければ、退屈きわまりない映画だろうけど。

2010/06/15(火)(村田真)

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