2017年06月15日号
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artscapeレビュー

GUTIC STUDY @studio90 山岡敏明展

2010年07月15日号

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会期:2010/05/08~2010/06/13

studio90[京都府]

この展覧会へ行くと言ったら、一緒にいた作家に「“グチック”の人ですね」と言われ、「“グチック”ってなに?」とつい聞いてしまった。どうやら山岡自身が作品(視覚現象)に名付けた言葉のようだ。普段は目に見えないが、たしかに存在している塊のような「なにか」を総称して“グチック”と呼ぶのだそう。引き戸を開けて暗い室内に入ると左手の突き当たり、会場の隅っこにモニタがあり、会場であるstudio90の外観が映し出されている。その建物の屋根には、DMの写真と同じく、塔のようなカタチをした黒い塊が突き出ている。先にその映像を見て、さらに奥へ進み真っ暗な中に立ち、しばらくすると目の前にモヤッとその黒い塊のカタチが見えてきた。これが“グチック”なのか。じっと見ているとそのカタチは大きくなったり少しだけ動いたりしているように感じられる。実際には、壁面を部分的に黒く塗っているだけだと後で聞いた。山岡はこれまでもこのような“グチック”の作品を発表しているが、“グチック”は、感覚的にはペインティングだという。真実とはなにかを追究する作家の制作の姿勢が作品とそのまま重なり興味深い。ちなみに、一体この空間はどうなっているのかと手を前に出しながらゆっくり直進したときに、私が考えていたよりもうんと手前で壁に触れたのにも驚いてしまった。見ようとすることと見えることのあいだで何を「真実として」見るのか。後で自作について話してくれた作家の言葉が印象に残った。

2010/06/13(日)(酒井千穂)

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