artscapeレビュー

冨倉崇嗣 展

2010年08月15日号

会期:2010/07/19~2010/07/31

O gallery eyes[大阪府]

冨倉崇嗣の新作展。断片的な記憶のイメージを巡って表現されるその世界には、物質の存在や風景が混じり合い、時間を追って意識と無意識の境界が交錯していくような印象を受ける。本展では、目に見えない透明なもの、感情や自然現象など、表現をさらに追究した作家の試みがうかがえた。百合の花や天使のような人物が描かれた《それぞれの教え》は油彩画だったが、色彩の重なりに透けるようなモチーフの浮遊感があり、画面に空間的な奥行きが生まれていた。不可視の存在がふわりとたち現われるような時間性も感じさせる。発表ごとに表現方法の研究や「見る」ことを丁寧に観察する作家の眼差しがうかがえて次も楽しみだ。

2010/07/25(日)(酒井千穂)

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