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プレビュー:マスダール・シティ

2010年09月15日号

[アブダビ]

竣工:2015年予定

アラブ首長国連邦のアブダビに、世界で初めてCO2を排出しない究極の環境都市を建設するという計画。総面積6.5平方km、開発費220億ドル、想定人口5万人で、2015年完成予定の巨大な新都市である。太陽光エネルギー、風力発電などの大規模な再生エネルギーなどを利用して都市全体を運営し、電機を動力とする自動運転可能なPRT(個人高速交通)を交通システムとして導入することにより、完全に自動車のない都市が実現するという。この乗り物は口頭で行き先を告げるだけで、自動的にその場所へと連れていってくれるという。現在、スマートグリッドと呼ばれる電力需要を自動的に調整するシステムが世界中で注目されているが、こうした環境負荷の低い多様な技術を基盤として建設される都市をスマートシティという。スマートシティはほかに中国の天津エコシティやアムステルダムのスマートシティ・プログラムなどが知られるが、マスダール・シティは、原油産出国が原油に依存しない経済を目指すための国家的なプロジェクトである点において特に注目される。なお、都市デザインはイギリスのフォスター&パートナーズが担当している。

2010/08/14(土)(松田達)

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