artscapeレビュー

Kring

2010年09月15日号

[ソウル]

チャン・ユンギュを中心とした韓国の建築設計グループ韻生同による複合文化施設。弾丸によって衝撃が与えられたかのような、同心円状の刳形と開口部が金属パネルによって表現されており、非常にインパクトのあるファサードが生み出されている。内部に入るとファサードの裏側数メートルの部分が大きな吹き抜けとなっており、円形の開口部の奥には円筒状の通路や居室が配置されているなど、立体的な空間構成が生み出されており、さらに上部には円筒形や円形をモチーフとした屋上庭園が、やはり立体的に構成されている。奥の空間のインテリアも実によくデザインされており、透明感のある空間をつくりだしていたが、筆者は特にこの厚みのある吹き抜け空間の体験が印象的だった。チャン・ユンギュは「浮遊」や「無重力」といった概念を以前から建築のテーマとしているらしく、この吹き抜け空間にはそのような方向性がとてもよく現われていると感じた。

2010/08/05(木)(松田達)

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