artscapeレビュー

群馬青年ビエンナーレ2010

2010年10月01日号

会期:2010/07/31~2010/10/11

群馬県立近代美術館[群馬県]

今回で10回目の群馬青年ビエンナーレ。16歳から29歳までを対象とした公募展で、若いアーティストの登竜門として定着して久しい。今回は審査員を美術家の伊藤存、東京都写真美術館事業企画課長の笠原美智子、インディペンデント・キュレイターの加藤義夫、同じく窪田研二、美術家の鴻池朋子の5名が務め、792人(組)から応募された1119点の作品から52人(組)による53点の作品が入選して、展示された。実際に展観を見てすぐに気づくのは、突出した作品が皆無であること、そして小粒の作品が均等に選ばれているように見えるということだ。例えば絵画の場合、細かく描きこんだ細密画や筆跡を残した厚塗りの絵画、傷つきやすく繊細な内面を吐露したナイーブな絵画など、昨今の多様な絵画の動向を確実におさえた出品構成となっている。それが審査員の総意による結果なのか、あるいは応募作に見られる一般的な傾向なのかはわからない。けれども、見る側の立場からいえば、公募展といえども、現在の動向を反映したカタログ的な展覧会を見ることは端から期待していないし、どうせ見るのであれば、ほかでは見られない非凡な作品と出会いたいものだ。凡庸な公募展が必要でないとは思わないが、地方都市という条件を考えると、もう少し特徴を際立たせるための工夫を凝らすことがあってもいいように思う。(その是非はともかく)VOCA展のように審査基準をあえて極端に偏らせたり、山口県展のように審査そのものを公開したり、できることはまだあるはずだ。

2010/09/11(土)(福住廉)

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