artscapeレビュー

3331アンデパンダン

2010年10月01日号

会期:2010/09/08~2010/09/19

3331 Arts Chiyoda[東京都]

東京に新たに生まれたアートセンター「3331 Arts Chiyoda」で催されたアンデパンダン展。3331の大きな特徴であるホワイトキューブに、全国から集まった200名以上の出品者による300点以上の作品が立ち並んだ展観はアンデパンダンならではの雑然とした熱気を放っていた。もちろん、それは玉石混交にはちがいないが、それにしてもそうした有象無象による表現への欲望を一カ所で受け入れる場が東京の中心に生まれたことの意味はかなり大きい。美術館や画廊が次々と乱立されていく一方で、そうした制度に乗らない表現は、基本的には野放しにされたままだったからだ。このアンデパンダン展によって、今後知られざるアーティストが新たに発見されることへの期待は高い。個人的に気になったのは、瀬戸内寂聴の言葉をただ抜き出した高屋聖子、既成の地形図をちぎって日の丸に再構成した井川優子、知的で難解な言葉の語感から、それらのイメージを妖怪として図像化した島本了多。とくに島本は、「ジェンダー」から筋肉ムキムキのマッチョな妖怪を、「ジャーゴン」からゴーヤのようなブツブツ感を、それぞれ連想するなどして、美術関係者にありがちな知的なスノビズムをけろりと批判してみせた。「スノビズム」や「アンデパンダン」はどんな妖怪になるのだろうか?

2010/09/12(日)(福住廉)

2010年10月01日号の
artscapeレビュー