artscapeレビュー

東京ミッドタウンアワード2010

2010年11月15日号

会期:2010/10/28~2010/11/03

東京ミッドタウン・プラザB1Fメトロアベニュー展示スペース[東京都]

アートとデザインのコンペ受賞作品を、ミッドタウンと六本木駅をつなぐ通路とショーウィンドーで展示。アート部門の受賞作品は4点で、グランプリはきのしたがくの《春夏秋冬東京動画絵巻》。東京の四季を縦長の4画面に映し出した浮世絵風アニメで、よくできているし楽しいけど、どこがアートなんだって気がしないでもない。それは準グランプリ作品にもいえることで、妙な脚をした羊の群れと「あ」の字のなる木を組み合わせたインスタレーションなのだが、なにがおもしろいのか理解できなかった。佳作は2点で、1点は空(と雲)を延々と映し出す石山和広の映像、もう1点は、どういう原理かわからないが虹を現出させる井口雄介の装置。どちらも自然現象を再現したもので、なんとなく似ている。作者はふたりとも武蔵野美大の建築科出身で、審査員のひとりの教え子であることも共通しているが、それはさておき、ぼくはショーウィンドーの垂直面に大空を映し出した石山の映像にグランプリをあげたい。デザイン部門のほうは、お花見のときに桜の木を囲むように敷けるドーナツ型のシートとか、お皿の模様が描かれたティッシュペーパーとか、四葉のクローバーだけを見つけ出すアプリとか、おもしろくて役に立つ(?)アイデア作品がいっぱい。でもぼくはなんの役にも立たない空の映像のほうが好きだ。しつこいね。

2010/10/30(土)(村田真)

2010年11月15日号の
artscapeレビュー