artscapeレビュー

日展

2010年12月01日号

会期:2010/10/29~2010/12/05

国立新美術館[東京都]

毎年恒例の日展。今回新たに2点の発見があった。ひとつは、彫刻の会場の並々ならぬ迫力。数百点を超える彫像が広大な会場に立ち並ぶ光景は、圧巻だ。これはそんじょそこらの展覧会では到底なしえない、まさしく日展という日本随一の団体展ならではの展観である。もうひとつは、絵のサイズについて。前々から指摘されているにせよ、油絵と日本画はそれぞれ無闇にサイズが大きい反面、書はあまりにも小さすぎる。一般的にはほとんど解読できない象形文字のような文字を小さく書かれても、視覚的な好奇心を刺激されることはほとんどなく、素通りしてしまいがちだ。書の専門家にとっては定型的な漢字なのかもしれないが、そうでない者にとって書はいまや抽象画に近い。文字の意味内容より、形式が眼に飛び込んでくるからだ。であれば、そのフォルムの力強さ、迫力、圧倒的な存在感こそ、見る者に訴えかけるべきであり、だからこそ書は巨大なサイズで描かれるべきなのだ。

2010/11/12(金)(福住廉)

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