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幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷 展

2011年01月15日号

会期:2010/12/02~2011/02/19

INAXギャラリー1[東京都]

幕末の探検家、松浦武四郎の活動を紹介する展覧会。正直言って、まったく知らない人物だったが、北海道を歩き、地図を作成し、一種の観光ガイドまで作成するなど、既成の枠組に囚われない仕事ぶりがおもしろい。とくに、晩年の1887年、さまざまな古材を集積して制作した究極の一畳空間は衝撃的だった。三重の伊勢神宮、静岡の三島神社、京都の平等院、宮崎の鵜戸神社、奈良の吉水神社や法隆寺、岐阜の長瀧寺など、極小なのに、多様な部材が共存する。個別の真偽はともかく、各地から部材を寄せ集めたのは事実だろう。その物語性が重要な建築である。おそらく彼の旅の記憶も喚起したのではないか。

2010/12/16(木)(五十嵐太郎)

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