artscapeレビュー

連続デブ小説 プロット展

2011年03月01日号

会期:2011/02/03~2011/02/27

@btf[東京都]

AR(Augumented Reality)=拡張現実の技術を駆使するユニット、AR三兄弟の初個展。携帯カメラやパソコンなどをとおしてリアルな風景にデジタル情報を重ねて見せるAR技術を体験させる装置はもちろん、AR技術を用いた企画のもとになったアイデアノートなどを展示した。「どんなにおもしろそうなアイデアであっても、A4一枚の企画書に収まらなければおもしろくならない」。この鋭い言葉が如実に物語っているように、AR三兄弟の真骨頂は、AR技術を駆使する想像力というより、むしろその前提となる簡潔明瞭な言語感覚だ。無駄な部分を削ぎ落とし、必要な部分を育む。的確な言葉を選択することで、思考のプロセスを他者に向けて開いていく。昨今のアートプロジェクトでもっとも重要視されていることを、AR三兄弟はすでに身体化してしまっているわけだ。「メディアアートって、なんかださいじゃないですか」という彼らの言葉は、メディアアートのみならず現代アート全般に対する、的を射た批評である。

2011/02/09(水)(福住廉)

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