artscapeレビュー

TOKYO FRONTLINE

2011年03月15日号

会期:2011/02/17~2011/02/20

3331 Arts Chiyoda[東京都]

「ニュー・コンセプトのアートフェア」ということで、今年からスタートしたのが「TOKYO FRONTLINE」。元中学校の校舎をフルに使って、盛り沢山の展示が行なわれていた。若手アーティストたち(うつゆみこ、高木こずえを含む)の作品ショーケースとして設定された「FRONTLINE」(1F)、アート、写真、デザイン、音楽、出版などのプレゼンテーションブースが並ぶ「EXCHANGE」(同)、東京を中心に中国、韓国のギャラリーのブースも加えた「GYM」(2F)がメインの展示である。EMON PHOTO GALLERY(西野壮平)、ときの忘れもの(五味彬)、ユミコ・チバ・アソシエイツ(鷹野隆大)、ZEN FOTO GALLERY(中藤毅彦)、The Third Gallery Aya(垣本泰美、城林希里香)など、写真を中心に展示しているギャラリーも多かった。総花的で焦点が結びにくいのは、このようなアートフェアでは仕方のないことだろう。回を重ねれば、地に足がついたものになってくるのではないだろうか。
同時期に3331 Arts Chiyoda本体の企画で、「ギャラリーに属していないフリーの現代美術アーティスト」を中心とした展覧会も開催されていた。その枠で個展を開催していた西尾美也の「間を縫う」(2月11日~3月14日)がかなり面白かった。西尾は1982年奈良県生まれ。今年東京藝術大学大学院博士課程を修了予定である。衣服とコミュニケーションが彼の主なテーマで、「セルフ・セレクト」シリーズはナイロビやパリで出会った若者たちと自分が着ている服を交換するというプロジェクト。「家族の制服」は、西尾本人の家族が20年前の記念写真とそっくりの服を着て、同じ場所で同じポーズを決めるという作品である。どちらも記念写真の様式をうまく使いこなして、知的な笑いを生み出していた。

2011/02/16(水)(飯沢耕太郎)

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