artscapeレビュー

曽根裕 展──Perfect Moment

2011年03月15日号

会期:2011/01/15~2011/03/27

東京オペラシティアートギャラリー ギャラリー1&2[東京都]

L字型のギャラリーを大きく2つに分けて展示している。ひとつは大理石彫刻を中心とする新作インスタレーション、もうひとつは90年代の映像だ。大理石彫刻は、マンハッタン島や観覧車などおよそ彫刻にならないものばかりをモチーフに選んでいる。マンハッタン島はビルの凸凹や通りの溝まで克明に彫られているのだが、それがあたかも山のてっぺんにあるかのように急峻な崖に囲まれて屹立しているのだ。つまり台座の上のマンハッタン。観覧車は複雑に組まれた鉄骨をどのように大理石で彫るかが問題だが、梁の1本1本まで彫るのは不可能なので、浮き彫り状に処理していた。いちばん感心したのは「木のあいだの光」シリーズで、雪山の木々のあいだから射す光を放射状やプリズム形に彫刻しているのだ。光はふつう彫らないでしょ。そんな大理石彫刻を観葉植物のあいだから見え隠れするように並べている。すでにメゾンエルメスでのクリスタル彫刻を見ていたので驚きはなかったけど、これはこれで満足のいく作品だった。だが、もう一方のギャラリーでやっていたのは、もう何度も見た《ナイト・バス》と《バースデイ・パーティ》だったので、結局見ごたえがあったのは前半の7点ほどの大理石彫刻だけ。先日見た高嶺展とは逆に「なにこれだけ?」って感じで、ものたりなさの残る展示であった。

2011/02/11(金)(村田真)

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