artscapeレビュー

現代中国の美術

2011年03月15日号

会期:2011/01/22~2011/03/13

日中友好会館美術館大ホール[東京都]

中国政府主催で5年にいちど開かれる「全国美術展」は、日本でいえば日展とか二科展とか院展とか全部集めて10倍(人口比)にしたものの5年分、くらいの規模と権威がありそうだ。ジャンルは油彩画、中国画、版画、彫刻などに分かれているが、抽象はもちろん、表現主義とかデフォルメした表現とかもなく、どれもこれもリアリズム。とりわけ油彩画はほとんどすべて超絶的ともいえるリアリズム画法で描かれているのが不気味だ。中国の美術教育は写真のように描くことを至上命題としているのだろうか。モチーフは、失われつつある農村風景であったり、近代化する都市生活であったり、ひとことでいえば現代中国の風俗画というとこか。しかもそれが政府や社会への批判にはならず、かといって翼賛的な社会主義リアリズムにも陥らないところがまた現代中国らしい。

2011/02/18(金)(村田真)

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