artscapeレビュー

ソーシャルダイブ──探検する想像

2011年04月15日号

会期:2011/03/18~2011/04/11

3331アーツ千代田[東京都]

ジャガイモとともにアフリカ大陸を横断したり(小鷹拓郎)、ルーマニアまで行って社会主義者を胴上げしたり(丹羽良徳)、愛の国への出入国管理を行なう「愛の大使館」を設けたり(マルクス清水)……。社会と密接に関わる若いアーティストたちの表現活動を紹介している。いや、彼らの多くは作品をつくる「アーティスト」というより、さまざまなコミュニティのなかに飛び込んで関係性を構築したり更新したりする「アクティヴィスト」と呼ぶべきかもしれない。だからこうした展覧会では彼らの活動をその場で体現することはかなわず、写真や映像、記録資料などでその一端を知るしかないのだが、実際これらのドキュメントを見て活動に興味をもつことがあっても、作品として楽しめるものは少ない。その意味では、実物は展示できないので設計図やマケットから全体を読みとるしかない建築展に近いといえる。例外は、交番の前などに貼られている指名手配者の顔写真を描き移した竹内公太の肖像画。これは絵画として(も)楽しむことができる唯一の作品だった。

2011/03/25(金)(村田真)

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