2018年04月15日号
次回5月15日更新予定

artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

プラハ城

[チェコ、プラハ]

プラハ城を再訪するが、目的は古建築ではなく、プレチェニックによるヘンタイ的な改修のみだ。前回見落としていた箇所が複数あったことに気づく。ものすごくヘンなデザインをあちこちに挿入しているのに、膨大な数の観光客で他にそれを見ている人が誰もいない。ガウディほど明らかにヘンでもない、ぎりぎりのラインか。ワグナーの影響を受けたデザインもあるが、日本では古建築のある環境にプレチェニック的な操作をしたら怒られそうだ。彼とその弟子が継承した改修のデザイン展も城の一角で開催中だったが、そこだけ見事に閑古鳥である。続いてプレチェニックの《聖心教会》へ。前回なんじゃこりゃと一番のけぞった建築である。モダニズムを切り開く《トゥーゲンハット邸》と完全に同時代なのだが、お前はいつの時代から来た人間なのかと言いたくなるような時空を超えたデザインだ。今回は修復中のため、両サイドのオベリスクを含む外観一部とあの奇妙な照明を吊り下げた内観は見ることができなかった。

写真:左・右上・右中上=プラハ城 右中下・右下=《聖心教会》

2017/09/20(水)(五十嵐太郎)

チェコ・キュビスム建築

[チェコ、プラハ]

《黒い聖母の家》ほか、幾つかのチェコ・キュビスムの建築を再訪する。展示でオットー・グートフロイントの彫刻もあるのはよいのだけど、キャプションなどで、キュビスムとの関連をあまり説明していないのは残念だ。とはいえ、ゴチャールやヤナークらの家具をこれだけまとめて見られる場は貴重である。チェコ・キュビスムのデザインは、アールデコの前哨戦のようにも見える。

写真:左上・左中=《黒い聖母の家》 左下=ロンド・キュビスムのアドリア宮 右上=家具の展示 右中=オットー・グートフロイントの彫刻 右下=キュビズムの街灯

2017/09/20(水)(五十嵐太郎)

《ダンシング・ビル》

[チェコ、プラハ]

前回の訪問時はオフィスだったフランク・ゲーリーの《ダンシング・ビル》は、現在一部がホテルとなったので、少し高かったけど宿泊してみた。ダンサーのフレッドとジンジャーに形態をなぞらえた踊るビルである。ジンジャーのガラスのスカートあたりの部屋なので、180度くらいのワイドビューが確保され、めちゃくちゃ視界がよく、川の向こうのプラハ城まで見える。最上階のバーでは、ひっきりなしに観光客が来て、眺望を楽しむ。ゲーリーの建築は、やはり当初は古都プラハの景観を破壊するという反対が多かったらしい(実物は意外に両隣の建物との関係も考慮しつつ、ヴォリュームの構成などよく練られていると思うけど)。が、いまや土産屋でプラハ城と並んでミニチュアがあったり(チェコ・キュビスムはないのに)、新しい街のランドマークとして認知されている。

2017/09/20(水)(五十嵐太郎)

英雄国立記念館

[チェコ、プラハ]

プラハに移動。おそらく17年ぶりの再訪である。まず聖キリルと聖メトディウス教会の地下にあるハイドリヒ暗殺の《英雄国立記念館》に足を運ぶ。ローラン・ビネの実験的な歴史小説「HHhH」でも描かれた、暗殺に失敗したパラシュート部隊がナチスに包囲され、最期を迎えた場である。そこに至る斜めの扉は、きちんとデザインされたものだった。なお、このバロック教会は、ディーツェン・ホーファーによるもので、前回のプラハ訪問時はこの建築家の作品を全部まわったが、そのときはここが悲劇の場所だとは知らなかった。

写真:左上=聖キリルと聖メトディウス教会 右上=斜めの扉 下=《英雄国立記念館》

2017/09/19(火)(五十嵐太郎)

ヴェレトゥルジュニー宮殿(プラハ国立美術館)

[チェコ、プラハ]

ヴェレトゥルジュニー宮殿は、旧王宮ではなく、見本市会場としてつくられ、その後、オフィスビルだったモダニズム建築をリノベーションし、現在は国立美術館になったものだ。外観も大きいが、内部に入ると、むちゃくちゃでかいのに驚く。しかも超巨大吹抜けが2つもあって現代美術向きである。上階から降りると、19世紀から近代、現代へと続く。象徴主義の影響が強かったせいもあるが、とにかく色使いが暗い(日本の絵画も暗いと思うが)。近代では、チェコ・キュビスムと連動する彫刻家オットー・グートフロイントの作品が最初にずらりと並ぶ。露骨にピカソの模倣みたいな作家もいるなか、彼には独自性がある。ちなみに、この国立美術館の常設コレクションは、アート限定ではなく、建築(模型、ドローイング、コンペ案などを展示)やデザイン(家具やプロダクトなど)の動向も一緒に紹介しているのが、うらやましい。企画展はアイ・ウェイウェイとMagdalena Jetelováを取り上げ、いずれも巨大吹抜けを見事に使い切る。前者の作品は、横浜トリエンナーレ2017において美術館の外壁でも使われており、これはやや迫力に欠けたが、ここでは内部に70m! の難民のゴムボートの作品を設置するほか、カフェやエントランスの大空間も活用し、ダイナミックだった。

写真:左上・左中=ヴェレトゥルジュニー宮殿 左下=オットー・グートフロイント 右上=アイ・ウェイウェイ 右中=Magdalena Jetelová 右下=建築の展示

2017/09/19(火)(五十嵐太郎)

文字の大きさ