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2018年08月01日号
次回9月3日更新予定

artscapeレビュー

デザインに関するレビュー/プレビュー

つながる食のデザイン展

会期:2017/10/07~2017/10/22

デザイン・クリエイティブセンター神戸[兵庫県]

神戸の食に関わる人々が考える未来像や諸活動を紹介する展覧会。シェフ、酪農家、販売者らとクリエイターたちが協同して、映像や展示を通じ「食」の現場の問題を可視化する試みである。食の安全や今後の可能性、酪農にみるサステナビリティやエコロジー、パンの製造工程から流通に至る過程にみる個人の価値観の検討、豚まん製造にみる職人技、食に関わる疑問を消費者と製造者が語るドキュメンタリー、売り場での消費者とのコミュニケーションの価値、食育の問題、チョコレートから味覚の記述を参加者に再考させるもの等々、テーマは多様で幅広い。デザイン・クリエイティブセンター神戸は、食のデザインに関わる実践的プロジェクトやイベントを連続的に行なってその記録をまとめてきた。そこには現場のヒアリングで多くの問題が提起、諸反応が蓄積されてきただろう。本展は、食の問題を異なる立場から表明するという点では意義深いが、各人のさまざまなコンセプトあるいは意見の蓄積を「どう見せるのか」あるいは「どうテーマ構成するのか」という点で、より総合的なディレクションが必要だと感じた。とはいえ、これからも市民を巻き込み、都市の活性化を促す、同センターの地道な営為を応援してゆきたい。[竹内有子]


会場風景

2017/10/16(月)(SYNK)

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オルセー美術館 至宝のリマスターアート展

会期:2017/10/04~2017/10/17

大丸ミュージアム神戸[兵庫県]

本展で用いられる「リマスターアート」とは、記録用のデジタルアーカイヴ画像をもとにした原作の復元を意味する。ただし注意が必要なのは、これがオルセー美術館の公式な認定を受けたレプリカであること。だから、通常では許可されない「原寸大」のサイズで作られている。高精細の3D画像によって作品解析を行う、最先端技術をもって作成された復元作品は「マスターレプリカ」と呼ばれる。もっとも、これを狭義の「美術鑑賞」の場でどう捉えるかについては意見の分かれるところだろう。復元画は、当然ながらメディウム自体を再現するわけではない。原作の筆のタッチや絵具が盛り上がる様子はよく見えても(画面は特殊顔料をスプレー状のもので吹きつけて仕上げられるという)やはり平坦であり、実際の生々しいテクスチュアや迫力のある凹凸までは写さない。しかしながら、従来の印刷物等による複製とは異なる高度な技術は、原画の筆触や色彩の正確な再現を可能にしている。今後の研究や教育での活用が大いに期待される。また異国の美術館に足を運んで見ることができないような場合にも、同技術の復元品は役立つ。本展では、美術史に出てくる名作(印象派以前からマネ、印象派とポスト印象派の巨匠たち)ばかり計60点を見ることができる。最新の複製技術の発達に目を瞠るか、はたまた真性のアウラを作品鑑賞に求めるのか、その人次第。実見して確かめるのも悪くない。[竹内有子]

オルセー美術館公式認定 Precision Re-mater Art
https://www.youtube.com/watch?v=zwjvWx7sIdE

2017/10/15(日)(SYNK)

20周年記念 家電のある生活展─暮らしのデザインミュージアム2017

会期:2017/09/18~2017/10/15

世田谷文化生活情報センター 生活工房[東京都]

家電─家庭用電気製品─という言葉が現れたのは概ね1950年代半ば、日本の高度成長期以降のことと考えられる。もちろん、戦前期から照明器具、ラジオ、扇風機など、電気製品は存在した。しかし多くの家庭に新たな娯楽をもたらした白黒テレビ、家事を省力化する洗濯機、生鮮食品を保存できる冷蔵庫など、いわゆる「三種の神器」が登場するのは戦後のことだ。1960年代半ばには3C(カラーテレビ、クーラー、自動車)、2000年前後にはデジタル三種の神器(デジタルカメラ、DVDプレーヤー、薄型テレビ)が登場。時代々々において家電製品は私たちの暮らしを大きく変えてきた。この展覧会は、これら主要家電製品のこれまでとこれからを概観する企画だ。
焦点が当てられているのは「生活」。展覧会のサブタイトルで「デザイン」という言葉が指し示しているのは色や形、文様それ自体のことではなく、私たちの生活スタイルにほかならない。時代順に4つのパートで構成された展示では、新しい機能と同時に物理的なモノを所有することの喜びをもたらした家電の役割が、次第にモノを媒介とした体験へと移り変わり、現代においてはインターネット、AI、ビッグデータといった形のないデータに接続するためのインターフェースになってきたことが示される。とはいうものの、かつての「三種の神器」が必ずしも新しい「三種の神器」によって置き換えられてきたわけではない。白黒テレビがカラーテレビ、液晶テレビに変わっていった例や、フィルムカメラがデジタルカメラ、スマートフォン内蔵カメラへと変わってきた例はあるが、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、自動車等々は、機能やデザインを進化させながら現在でも私たちの生活に欠かせないものとなっている。つまり、私たちが所有する家電の種類、範囲は戦後、どんどんと拡大し、身の回りのモノが次第々々に増大してきたということに気づかされる。
1997年にオープンし、今年20周年を迎えた生活工房では、これまでに多くのデザイン展が開催されてきた。しかしここのデザイン展は他の多くのデザイン展とは少し異なっている。他のミュージアムで開催されるデザイン展が主にデザイナーや著名なプロダクトに焦点を当てることがほとんどであるのに対して、生活工房のデザイン展の目線は常に生活者側、デザインの使い手側にある。この視点はとても重要だ。なぜならば、デザインが私たちの暮らしを豊かにするものだとするならば、デザイナーがなにをつくったかということと同時に、私たちがデザインになにを求めてきたのか、デザインが私たちの暮らしをどのように変えてきたのかという事実の検証が大事になるからだ。生活工房の企画にはこれからも注目していきたい。[新川徳彦]

2017/10/15(日)(SYNK)

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I LOVE LIBERTY LONDON展

会期:2017/10/11~2017/10/16

阪急うめだギャラリー[大阪府]

リバティ百貨店は、1875年にアーサー・レイゼンビー・リバティ(1843-1917年)がロンドンで創業した老舗。本展は、英国フェアが50回を迎えたことを記念して、長きに渡るリバティの歴史、デザイン、ファッションを紹介する催しである。リバティは、万国博覧会などを通じて、日本を含む東洋の美術や工芸品を買い上げていた「ファーマー&ロジャース商会」で働き、同商会の「オリエンタル・ウェアハウス」支配人にまでになった。彼が独立して、立ち上げたのがリバティ商会。唯美主義者たちの「美的」生活に必要な東洋の室内装飾品やテキスタイル等を供給し、人気を博した。以降、リバティは東洋にインスパイアされたデザイン・モティーフで、コットンのブロック・プリントの制作に乗り出した。ギャラリー会場には、彼が訪れたアルハンブラ宮殿の写真、日記、1884年に開始された婦人服部門によるスケッチ画や刺繍サンプル、インド風デザイン(ペイズリー模様)の捺染用のブロック(木片)、生地見本やカタログ等、貴重なアーカイヴ資料が展示された。リバティ・プリントのなかでも革命的ともいえる「タナローン」(高品質なコットンの産地であったスーダンのタナ湖に由来)の誕生は、1920年代に遡る。コットンなのに、絹のような柔らかさとドレープ性が特徴。タナローンの子供服やドレスも出品されていた。とりわけ同社の歴史で「コスチューム・スタジオ」の創設が20世紀初めのファッションに果たした役割は大きい。それを示すがごとく、1900年のアール・ヌーヴォーのスタイル(写真左)から現在に至るまで、各時代を象徴するドレスの展示は壮観だった。ギャラリー・トークでは、デザイン・ディレクター/ジェームス・ミラー氏が、リバティと日本との関わり、世界を旅した彼に因んで新しく発表したシリーズ「merchant traveller」について語り、創業者から連綿と続く東洋との関係性にオマージュを捧げていた。[竹内有子]

左:アール・ヌーヴォーの刺繍が施されたシルクサテンマント 1900 筆者撮影
右:ウィリアム・モリスの「苺泥棒」を用いたキモノ風ドレス(前列右から二つ目)2017 筆者撮影

2017/10/14(土)(SYNK)

驚異の超絶技巧!─明治工芸から現代アートへ─

会期:2017/09/16~2017/12/03

三井記念美術館[東京都]

2014年から翌年にかけて三井記念美術館ほかで開催された明治学院大学山下裕二教授の監修による明治工芸の展覧会「超絶技巧!明治工芸の粋」の第2弾。前回は清水三年坂美術館村田理如館長のコレクションを紹介する構成であったが、今回は村田コレクション以外の明治工芸を加え、さらには現代において「超絶的」ともいえる技巧によって制作している15名のアーティストたちの作品を明治工芸と対比させながら展示している。
「超絶技巧!明治工芸の粋」で話題を呼び、本展でも大きく取り上げられているのは安藤緑山の牙彫。胡瓜、柿、パイナップル、バナナ、葡萄等々、象牙を彫り上げたリアルな造形と彩色、構成の妙に息を呑む。三井記念美術館小林祐子主任学芸員によれば、前回展覧会時に国内において確認された緑山の作品が35件であったのに対し、その後の調査により国内外で82件の作品が確認されているとのことだ(もっとも緑山が制作を行ったのは明治末から昭和初め、作品の受容者が皇室や宮家、一部富裕層だったことを考え合わせると、殖産興業、外貨獲得を目的として海外に輸出された明治期前半の工芸とは時期や文脈が異なることに留意したい)。また前回展(村田コレクション)になかった明治工芸として宮川香山の高浮き彫り陶器が出品されている(真葛ミュージアム所蔵)。
そして「現代アート」である。何をもって「現代アート」とするのか。実は監修者山下祐二氏自身「熟慮した末に『現代アート』という用語を使ったのだが、これには私自身、少々抵抗があることを正直に告白しておこう」と書いている。今回出品している現代作家の多くは「いわゆる『現代アート』を志向しているわけではない」が、このサブタイトルによって現代アートファンの注目を集めることができれば、という趣旨なのだそうだ(本展図録、9頁)。「現代アート」でくくることができない一方で、これらの出品作家の多くはまた「伝統工芸」あるいは「現代工芸」でくくられる人々ではないという点がさらに興味深い。山下氏は「DNA」「遺伝子」という言葉を用いているが、これらの作家と明治工芸の担い手との間には、歴史的、人的、技術的連続性はほとんどない。実際、ここでは「伝統工芸」あるいは「現代工芸」につきものの権威とは無縁の作家が多くフィーチャーされている(出品作家の多くが若手であるということも、権威からの距離をもたらしているかもしれない)。ではそのような近代工芸史の文脈から離れた現代作家の作品と明治工芸とを並列することにどのような意義があるのか。本展覧会序文のテキストを読むと、山下氏は美術優位の下に忘れ去られた明治工芸の再評価と、これらの明治工芸と同様に技巧を極めようとしていながらも既存の権威と離れたフィールドで活動する現代作家にスポットライトを当てることを、この展覧会で同時に行なおうとしているようだ。それはとりもなおさず村田コレクションにおけるバイアスを現代作品に投影するということにほかならない。ただ技巧に優れた作家を取り上げるということではないのだ。出品作家と展示作品を見てその印象を強くした。[新川徳彦]

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2017/09/15(金)(SYNK)

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