2015年1月15日号:号で見る|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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artscapeレビュー

2015年01月15日号のレビュー/プレビュー

high & dry──田中和人 展

会期:2014/11/14~2014/11/30

Gallery PARC[京都府]

田中和人は写真作品を制作しているが、その作風はストレートフォトとは一線を画している。たとえば、色鮮やかなブロック玩具をピンボケで撮影した《blocks》、金箔をフィルターとして用いて青白い風景を撮影した《GOLD SEES BLUE》、カメラの代わりにスキャナーを用いた《after still》などである。それらの作品は、一見しただけでは相互の関係性が見えにくいが、本人いわく「具象と抽象」あるいは「写真と絵画」の「境界」をテーマにしているとのこと。本展では、新作も含め彼のこれまでのシリーズを一堂に展示することにより、田中の一貫した作家性を明らかにした。また、作品をシリーズごとに並べるのではなく、ランダムに配置したが、これにより時系列を超えたシリーズ相互の参照が可能になった。作家自筆の作品相関図もユニークで、作品理解の一助になった。

2014/11/21(金)(小吹隆文)

岡本光博 マックロポップ

会期:2014/10/25~2014/11/22

eitoeiko[東京都]

京都在住のアーティスト、岡本光博の、東京では21年ぶりになるという個展。決して広くはない会場に、新旧あわせた作品が凝縮して展示された。
「マイクロポップ」をもじった展覧会名に端的に示されているように、岡本の醍醐味は記号を反転させる単純明快さにある。しかも今回展示された作品の大半は、セックスに関わるものであり、平たく言えば下ネタのオンパレードであった。一つひとつの作品に笑わされるというより、それを終始一貫させる、あまりの徹底ぶりがおかしい。
しかし現代美術の現場において、岡本のような作品は、あまり評価されない傾向がある。高尚な思想を背景にしているわけではなく、解釈の多様性が担保されているわけでもなく、要するにあまりにもわかりやすく、「深み」に欠けているように見えるからだ。とりわけ絵画においては、唯一の解答に導くのではなく、鑑賞者の想像力を無限に拡張させることが至上命令とされている感すらある。芸術とは、かくも深遠なものというわけだ。
けれども、実際のところ、こうした考え方は芸術の本質であるわけではない。そのような芸術の「深さ」はポップ・アートによってすでに相対化されてしまったと言えるし、その「深さ」とやらこそ、美術と庶民のあいだに不必要な距離感をもたらしたとすら考えられるからだ。だとすれば、岡本の作品をたんなる下衆で低俗な言葉遊びとは到底言えなくなる。それは、そのような「深さ」を伴った芸術に向けられた、そしてそのような芸術を依然として待望してしまう私たちの心根に向けられた、きわめて鋭利な批判なのだ。性的な主題を大々的に前面化させているのも、それを忌避しがちな現代美術への露悪的な身ぶりなのだろう。
だが岡本の作品もまた、同時代を生きる者によって同時代を生きる者に向けられた美術という点で、現代美術のひとつであることに違いはない。「マックロポップ」が「マイクロポップ」のようなムーヴメントを形成することはないだろうが、現代美術におけるどす黒い反逆の身ぶりを示す指標にはなりえるのではないか。

2014/11/21(金)(福住廉)

阪神・淡路大震災から20年

会期:2014/11/22~2014/03/08

兵庫県立美術館[兵庫県]

1995年1月17日に起こった阪神・淡路大震災。今年は震災から20年という節目の年であり、兵庫県内の複数の美術館・博物館などで震災関連の展示が行なわれる。その先陣を切って開催されているのが本展だ。展覧会は3部構成で、第1部「自然、その驚異と美」では、プロローグとして日本人の自然観を表現した作品が並び、第2部「今、振り返る─1.17から」では、当時の美術館の被災状況やその後の取り組み、芦屋にあった写真家・中山岩太のスタジオから作品と資料を救出した文化財レスキューの活動、作品の保存・修理と記憶を受け継ぐための教育・普及事業を紹介、第3部「10年、20年、そしてそれから」では、写真家の米田知子が2005年に芦屋市で制作・発表した写真シリーズを展示した。展覧会を見て気付いたのは、いくら忘れまいと思っていても、20年の歳月は人の記憶を薄れさせるということ。だからこそ、定期的にこのような企画を行なう必要があるのだ。これから他館で行なわれる震災関連展もチェックして、あの日の記憶を今一度定着させたい。

2014/11/22(土)(小吹隆文)

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吉川舞 展

会期:2014/11/24~2014/11/29

ギャラリー白3[大阪府]

本展は、新進陶芸家・吉川舞の初個展だ。作品は、量産の素焼きの皿の上に、絵付けの図柄の転写シールと、ファッション雑誌などから抜き出した写真画像をコラージュして配したもの。手わざの対極にあるような作品だが、レイアウトのセンスがよく、ポップでお洒落な世界をつくり出すことに成功している。影響を受けた作家はグレイソン・ペリーと聞き、なるほどと思った次第だ。彼女はまた、新人なので、作風を云々するのはまだ早い。いまのフレッシュな感覚を忘れずに制作に邁進してほしい。

2014/11/24(月)(小吹隆文)

TRACES 三人の跡──山口和也 展「KAKIAIKKO」

会期:2014/11/22~2014/11/30

trace[京都府]

美術家であり、写真家であり、オルタナティブスペース「trace」の運営者でもある山口和也。彼が精力的に行なっている活動のひとつが「KAKIAIKKO」だ。これは音楽家と1対1でステージに立ち、互いに即興で作品をつくり上げていくものである。本展では、過去2年間に行なってきた「KAKIAIKKO」から絵画6作品と、ドローイングと版画の小品を展示した。生成りのキャンバスに激しいタッチと色彩のせめぎあいを刻み込んだ作品は、ライブの余韻を生々しく伝えており、独立した絵画としても十分魅力的だ。ただ、ライブ時の音楽やノイズ込みで見せることができれば、さらに迫力が増すだろう。山口自身、そうした展開や、過去作品すべてを網羅する展覧会を計画しており、現在多方面にプレゼンを行なっている。彼の理想の展覧会が、一日も早く実現することを期待している。なお、本展は3人の美術家の作品を連続個展形式で紹介する展覧会プログラム「TRACES」の第3弾として行なわれたものだ。

2014/11/25(火)(小吹隆文)

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