2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

2016年01月15日号のレビュー/プレビュー

ルートヴィヒ・コレクション ピカソ展

会期:2015/10/31~2016/12/23

宮城県美術館[宮城県]

ピカソのさまざまな時代を網羅していたが、内容としては、絵画以外の陶芸の作品や原版の展示が目新しい。また、さまざまな写真家が撮影したピカソのポートレイト群が特徴だろう。多様な切り口が可能な多作ぶりだが、飽きることなく、生涯多作を維持できることはひとつの才能だろう。常設展示のほうは、日本画、荒川修作の巨大作品、ココシュカやエゴン・シーレの小作品など。

2015/12/08(火)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00032718.json s 10118446

松江泰治「LIM」

会期:2015/11/28~2015/12/26

TARO NASU[東京都]

松江泰治の目の付け所はさすがとしか言いようがない。「構想10年」だそうだが、世界各地で「墓地」を撮るという素晴らしいアイディアを思いつき、それを完璧に形にしてみせた。ペルーの首都、リマ(「LIM」)で撮影された写真群を中核として、アジア、アフリカ、中近東、ヨーロッパなどに広がっていく作品を見ていると、彼がここで提起している「墓地こそが都市である」というテーゼが、これ以上ないほどの説得力を備えていることがよくわかる。
それにしても、死という不可避的でありながら不条理の極みというべき出来事を、人間たちがいかに手なずけ、社会化してきたかを見るうえで、墓地ほどふさわしい指標はほかにないのではないだろうか。半ば砂に埋もれた石塔のかけらが散らばるサハラの墓地、素っ気ない枕のような造形物が規則的に並ぶイスラム世界の墓地、あたかも人がそのまま暮らしていそうな外観の中南米の墓地等々、各地の墓地のあり方は、そのままそれぞれの土地の社会や歴史の縮小模型のようだ。松江の写真家としての力量と、近年、より柔らかなふくらみを感じさせるようになったカメラワークの冴えが見事に発揮された傑作だと思う。
ただTARO NASUでの展示は「LIM」シリーズから15点+映像作品のみなので(ほかに1990年代のモノクロームの風景作品が15点)、「要約版」という趣でやや物足りない。その全貌は、青幻舎から同時に刊行された同名の写真集で確かめていただくしかないだろう。こちらは、編集、デザイン(秋山伸+榊原ひかり/エディション・ノルト)ともしっかりと組み上げられていて、見応えがある。


《PUQ 141133》 ©TAIJI MATSUE Courtesy of TARO NASU

2015/12/08(火)(飯沢耕太郎)

KING CRIMSON THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR in JAPAN 2015

会期:2015/12/07~12/10、12/16~12/17

Bunkamuraオーチャードホール[東京都]

フロントにドラム三人を配するという見たことがないセッティングだったが、それぞれ演奏のキャラが違い、音もクリアで、ドラマチックな立体感を生み出す。名曲の数々はいま聞いても前衛だ。ある意味で、時代を超えたプログレッシブな楽曲ゆえに、古さを微塵も感じさせない。とすれば、ロックは1960年代に産声を上げると同時に、いきなり終わりが示されていたのだろうか。彼らの年齢を考えると、これでキング・クリムゾンはもう聴けないかもしれない。今年の終わりはホワイトスネイクによるディープ・パープルの楽曲演奏、大御所のオジー・オズボーンが登場したオズフェス、ラウドパークのスレイヤーやメガデス、デフ・レパード、レッド・ドラゴン・カーテルによる「月に吠える」などがあって、往年のロックが目白押しだった。

2015/12/09(水)(五十嵐太郎)

WINDOWS IN FILMS 2015年度窓学「窓の映画学」

2007年から東北大学五十嵐研では、窓学を継続しているが、今年は窓の映画学を調査した。博士課程の菊地尊也が中心となって、洋画はヒッチコックと007シリーズ、邦画は家族映画を軸に作品を選び、窓がいかに表象されているかを網羅的に分析した。またプレゼンテーション用に研究室OBの三浦和徳監督の編集により、膨大な窓のシーンをつないだ約10分のフッテージ・フィルムの作品「WINDOWS IN FILMS」を作成した。

2015/12/10(木)(五十嵐太郎)

ゴドーを待ちながら

会期:2015/12/10~2016/12/14

シアターΧ[東京都]

勅使川原三郎/佐東利穂子「ゴドーを待ちながら」@シアターカイ。勅使川原の軽妙なしゃべりの録音を流しながら、本人が身体を動かす。ベケットの原作どおり、人参の話などもあるのだが、勅使川原の語りはまるで寄席のよう。そして背を向けて立つ佐東。動かない、動かない。が、たえず動く勅使川原とは対照的に不動の存在感を示し続ける。

2015/12/10(木)(五十嵐太郎)

2016年01月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ