2018年10月15日号
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artscapeレビュー

2016年04月15日号のレビュー/プレビュー

今井祝雄「白のイヴェント×映像・1996-2016」

会期:2016/03/05~2016/04/02

Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku[東京都]

今井祝雄は1966年に東京・銀座の松屋デパートで開催された「空間から環境へ」展に「白のイヴェント×映像」と題する作品を出品した。1メートル角の白いラバースクリーン(4面)の一部が、前後にピストン運動する鉄棒によって隆起を繰り返している。そこに2台のプロジェクターで80点のカラースライドを5秒ごとに投影するという作品である。カラースライドを提供したのは大辻清司、東松照明、奈良原一高、横須賀功光。現代美術アーティストと写真家が合体したユニークなプロジェクトだった。今回Yumiko Chiba Associates viewing room shinjukuで再現されたのは、そのうちの一面のみだが、当時の臨場感が伝わってくる面白い展示になっていた。
なお、大辻(ヌード)と東松(顕微鏡写真、モンタージュ作品)のカラースライドは1966年当時のものだが、奈良原と横須賀は特定がむずかしかったので、鷹野隆大の「毎日写真」のシリーズに置き換えられている。だが、逆にそのことによって、1966年の時空間が2016年のそれと接続し、伸び縮みする映像の生々しさがより際立ってきていた。鷹野の素っ気ない風景写真に写り込んでいる建物の一部が、呼吸するようにうごめく様が、奇妙なユーモアを醸し出していたのだ。今後はほかの現代写真家の画像を使って、作品を更新し続けていくこともできそうだ。
今井は1946年の生まれだから、当時は弱冠20歳だったわけで、それを考えるとやや忸怩たる思いがある。最近の若い写真家やアーティストたちの作品は、小綺麗にはまとまっているが、未知の状況にチャレンジしていく意欲を欠いているように思えてしまうからだ。本作のような、現代美術や写真のジャンル分けを踏み越えていく破天荒な作品をもっと見たい。

2016/03/17(木)(飯沢耕太郎)

西村陽一郎「山桜」

会期:2016/03/18~2016/03/27

みんなのギャラリー[東京都]

西村陽一郎は、これまで印画紙の上に置いたモノに光を当ててそのフォルムを写しとるフォトグラムの手法で作品を制作してきた。今回東京・半蔵門のみんなのギャラリーで展示された「山桜」のシリーズでは、そのフォトグラムをデジタル化した手法を用いている。名づけてスキャングラム。スキャナー上に被写体を置いて、そのデータを元にプリントする方法だ。特筆すべきなのは、そのデータからネガ画像を出力していることで、結果として被写体の色相が補色に反転する。つまり赤っぽい色は青や緑に変わってしまうわけで、「山桜」なら赤っぽい雌蕊や若葉の部分が、青みがかった色に見えてくる。さらに通常のフォトグラムと違って、花弁や葉のディテールが、まるでレントゲン写真のような精度で写り込むことになる。花々が本来備えている神秘性、魔術性が、この手法によってさらに強調されているともいえる。
今回の「山桜」の展示を見ると、スキャングラムには、さらに表現の幅を広げていく可能性がありそうだ。西村はこの手法を使って、「山桜」だけでなく、ほかの植物群も含めた「青い花」のシリーズをまとめようとしている(6月に同ギャラリーから写真集として刊行予定)。だが、スキャングラムはもっとさまざまな被写体にも応用が効くのではないだろうか。例えばスキャングラムによるポートレートやヌードも面白そうだし。複数の画像をモンタージュすることも考えられるだろう。デジタル化の急速な進展にともない、これまでではとても考えられないような画像形成の可能性が生じてきている。今回はオーソドックスなフレーム入りの展示だったが、会場のインスタレーションにも工夫の余地がありそうに思える。

2016/03/18(金)(飯沢耕太郎)

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」

会期:2016/03/05~2016/04/01

新橋演舞場[東京都]

開幕前に流されていたヘヴィメタルは、ジューダス・プリーストの『背徳の掟』から「ヘヴィ・デューティ」と「ディフェンダーズ・オブ・ザ・フェイス」で、高校のときよく聴いた曲である。回転舞台とセリを生かした場面変換の速い演出、古田新太、稲森いずみらの安定した演技、小気味がよい脚本だった。

2016/03/18(金)(五十嵐太郎)

岸 和郎:京都に還る_home away from home

会期:2016/01/28~2016/03/20

TOTOギャラリー・間[東京都]

ギャラリー・間の岸和郎「京都に還る」展は、力の入った内容だった。そして図面、模型、写真などの基本要素を並べた、奇をてらわない、いわゆる正統派の建築展である。また自らの作品だけではなく、彼が育てた弟子たちの活動も紹介する、圧倒的なヴォリュームで、ギャラリーの個展というよりは、もはやミュージアムの一大回顧展のような密度だった。

2016/03/18(金)(五十嵐太郎)

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KAAT×地点共同制作作品第6弾 地点「スポーツ劇」

会期:2016/03/11~2016/03/21

KAAT神奈川芸術劇場[神奈川県]

KAAT×地点「スポーツ劇」は、体調が万全でなかったので、言葉を精緻に読みとる余裕がなく、むしろ畳みかける言葉の渦にただ身を任せる感じでの鑑賞となった。かつてのヴェネツィア楽派のごとく、両サイドからリズミカルな人間楽器がつくる音の空間に挟まれつつ、背後に向かって急なスロープとなっている舞台では俳優が重力と摩擦に身を委ねる。

2016/03/18(金)(五十嵐太郎)

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