2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

2016年04月15日号のレビュー/プレビュー

GABOMI.「/in/visible」

会期:2016/03/02~2016/03/25

資生堂ギャラリー[東京都]

資生堂ギャラリーが主催する新進アーティストの公募展、「shiseido art egg」には、時々面白い「写真家」が登場する。今回の第10回公募には370名の応募があり、そのなかから選ばれたGABOMI.の写真作品が展示された(前後の会期で川久保ジョイ、七搦綾乃展を開催)。
GABOMI.は1978年、高知生まれで、香川在住のアーティスト。「肉眼で見えない光」の様態を捉えるために、「TELENS」、「NOLENS」などのユニークな手法で制作している。「TELENS」=手レンズは「手をカメラのボディと組み合わせ、手で光を調節」して撮影し、「NOLENS」=ノーレンズは「カメラレンズを外してカメラ内部を開け放った状態で、屋外にて被写体をマクロ撮影し、色を抽出する試み」である。結果として、抽象化され、パターン化された、微妙なグラデーションの色面が出現してくる。それらをグリッド状に並べるのが、今回の展示の基本形だ。
試みとしては悪くないが、ここから先がむずかしいだろう。被写体として選ばれているのは、例えば「NOLENS」のシリーズなら、「コーラ(自販機) あじさい 椿 いちょう あじさいの葉」などであり、なぜこの手法で撮影して提示しなければならなかったかという根拠がやや乏しい。インクジェックプリントのクオリティ、壁面への展示の仕方も、これでいいのかという疑問が残る。紙焼きのプリントでは、「光」本来の物質性や輝きが抜け落ちてしまうように思えるからだ。そのあたりをクリアーしたうえで、さらに大胆な探究と実践が必要になってきそうだ。

2016/03/05(土)(飯沢耕太郎)

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《蛭根の丘》

[秋田県]

竣工:2014年

盛岡から秋田へ。花田順・花田直子が設計した蛭根の丘を訪れる。隣地の桜を鑑賞できる土地を望んでいた施主が4年以上探してようやく見つけた細長い三角形の敷地だった。カーポートも含めて、全体を壁で囲みながら、中庭を設け、南からの光をとり入れつつ、前面道路には閉じつつ、借景に対して思い切り開く。

2016/03/05(土)(五十嵐太郎)

《老方のいえ》

[秋田県]

竣工:2013年

続いて由利本荘を通過し、さらに山奥の渡邉浩昭による《老方のいえ》へ。小さなお堂に隣接し、斜めに矩形のヴォリュームを振って見晴らしを得る。コールテン鋼の壁と屋根に小さな開口を複数設けた外観が印象的だった。雪がとけ、壁を伝う水の流れが美しい。一転して室内は落ち着いた雰囲気である。向かいの旧家に収納を入れることで、リタイア後のコンパクトな居住空間を実現していた。

2016/03/05(土)(五十嵐太郎)

「屋須弘平 グアテマラ140年のロマン」

会期:2016/01/23~2016/03/27

あーすぷらざ3階企画展示室[神奈川県]

屋須弘平(1846~1917)は現在の岩手県一関市藤沢町の蘭方医の家に生まれ、17歳で江戸に出て医学、フランス語、スペイン語などを学ぶ。1874年に金星の太陽面通過を観測するために来日したメキシコ調査隊の通訳となり、75年にメキシコに渡った。76年にグアテマラに移り、80年にグアテマラ市で写真館を開業、以後一時帰国を挟んで、1917年に亡くなるまでグアテマラ市と古都 アンティグアで「日本人写真師」として活動した。
1985年、グアテマラに長期滞在していた写真家、羽幹昌弘が「ある古都の一世紀 アンティグア グァテマラ 1895-1984」(東京デザイナーズスペースフォトギャラリー)と題する写真展を開催した。数年前に再発見された屋須のネガからプリントしたアンティグアの風景・建築写真と、羽幹が1980年代に同じ場所を同じアングルから撮影した写真群を並置した写真展だった。僕はたまたまその展覧会を見て、屋須の写真家としての能力の高さに感嘆するとともに、アンティグアの街並が一世紀前とほとんど変わっていないことに驚いた。それをきっかけにして、屋須について調べ始め、当時『芸術新潮』誌に連載していた「フットライト 日本の写真」の原稿を執筆するため、アンティグアを訪ねることができた。その「グアテマラに生きた写真家 屋須弘平」という記事は、のちに『日本写真史を歩く』(新潮社、1992)におさめられることになる。
そういうわけで、屋須弘平の仕事はずっと気になっていたのだが、今回、横浜市栄区のあーすぷらざで、藤沢町に寄贈された屋須の遺品と遺作の回顧展が開催されることになり、久しぶりにその全貌に触れることができた。あらためて、屋須とその養子のホセ・ドミンゴ・ノリエガの写真群はとても面白いと思う。技術力の高さだけでなく、当地のキリスト教文化との密接な関係が、聖職者の肖像写真や教会の建築写真によくあらわれているからだ。また、アンティグアとその周辺の村を撮影したスナップ的な写真群も残っており、少しずつ写真家としての意識が変わりつつあったことが伺える。
今回は、羽幹昌弘の「ある古都の一世紀 アンティグア グァテマラ 1895-1984」に展示されていた写真も出品されており、懐かしさとともに、時を越えて異空間に連れ去られるような彼の写真の力を再確認することができた。来年は、屋須の没後100年にあたり、グアテマラの日本大使館でも記念イベントが予定されているという。さらなる研究の進展が期待できそうだ。

2016/03/06(日)(飯沢耕太郎)

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《RICO》

[福島県]

郡山からタスエスの設計した《RICO》に向かう。新興の郊外住宅地において、斜めに振ることで今後建つであろう隣家の視線をかわしつつ、4つの木箱を置き、2階を含む大きな斜め屋根を架ける。収納を意識した設計で生活感がいい意味で溢れる。実は3.11の被災者の家でもあった。

2016/03/06(日)(五十嵐太郎)

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