2018年01月15日号
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artscapeレビュー

2016年04月15日号のレビュー/プレビュー

TWS-NEXT @tobikan “クレアボヤンス”

会期:2016/02/19~2016/03/06

東京都美術館[東京都]

クレアボヤンスとは透視とか千里眼、優れた洞察力といった能力を指す。出品は鎌田友介、three、平川ヒロ、増本泰斗、三原聡一郎。それぞれ東日本大震災やエネルギー問題などの社会的テーマに独自の視座でアプローチしているが、残念ながらぼくにはこれらの作品のすばらしさを見抜けるほどのクレアボヤンスはないようだ。こうしたリサーチ系の作品にありがちなことだが、透視以前に見ていてつまらない。

2016/03/01(火)(村田真)

さらば あぶない刑事

映画『さらば あぶない刑事』のラストは、『明日に向かって撃て!』のようになるのかと思いきや、やはりテイストが合わないので回避する。これも含めて、全体的になぜそうなるのかというロジックが物語に欠けるが、そもそもリアリズムが主眼ではない。軽やかで華麗なスタイルこそが、作品の醍醐味だということを改めて感じさせる。ただ、ずっと舞台になっている横浜の街は、その変化も含めて、もっとうまく使えないものだろうか。

2016/03/01(火)(五十嵐太郎)

X-ミッション

『X-ミッション』は、エクストリーム・スポーツの制覇×独自の地球環境思想×FBI潜入捜査というてんこ盛りで無理やりなプロットだが、見どころであるべきアクションは凄まじく、看板に偽りはなかった。人間と荒ぶる自然について、究極の関係性を追求する。もっとも、種目を詰め込み過ぎたために、本来はそれだけで一本の映画になるくらい大変なはずの断崖の登頂があっさりしすぎているなど、個々のスリルがやや減じられていた。

2016/03/01(火)(五十嵐太郎)

サイモン・フジワラ「ホワイトデー」

会期:2016/01/16~2016/03/27

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

受付で解説を渡される。読まなきゃ理解できない展覧会なのかな。最初は解説を見ずに回ってみる。まず導入部に、紙袋に入った毛皮、その奥には木の枝が床に置かれ、その下に賽銭のようにコインがまかれている。なんだろう? コインに導かれてメインギャラリーに入ると、古い紙幣でつくった扇子、スターリンらしき人のマスク、割れた陶器、鷲の石像、須田国太郎の掛軸、グラスに入った牛乳の絵、皮革を張ったキャンバス、毛皮の毛を皮からはがす人、マーク・ロスコを縦に延ばしたような絵、大きく引き延ばした名刺、白人女性の型取り彫刻などが並び、隣のギャラリーにも女性の型取り彫刻が兵馬俑よろしく整列し、奥には映像が投影されている。ホワイトキューブの会場、「ホワイトデー」のタイトルも含めてなんとなく「寒い」イメージばかり。解説によれば、バレンタインデーのお返しをするホワイトデーは「個人の感情と消費を結んだ見事なシステム」だとして、「私たちが日ごろ無意識に受け止めている『システム』に光を当て、その背後にさまざまな理由、経緯、ときには思惑が存在することを明らかに」するものだという。具体的にいうと、女性の彫刻はロンドンの暴動に参加したことで液晶モニター工場に送られた少女で、牛乳の絵は、牛乳というものを見たことも飲んだこともない国の絵画工房に依頼して描いてもらったものらしいが、ときにフィクションも挿入されるそうだ。いずれにせよ最初からひとつのインスタレーションを目指したものではなく、個々に組み立てられた物語を寄せ集めてひとつのインスタレーションとして見せたってわけ。これを楽しむにはかなり高感度なセンサーと忍耐力が必要だ。

2016/03/02(水)(村田真)

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森山大道「裏町人生~寺山修司」

会期:2016/02/05~2016/03/27

ポスターハリスギャラリー[東京都]

森山大道と寺山修司の関係は、1960年代後半にさかのぼる。森山の畏友の中平卓馬が編集を担当していた『現代の眼』で初の長編小説「あゝ、荒野」を連載していた寺山は、1966年に同書を単行本化するにあたって、表紙の撮影を森山に依頼する。寺山、中平とともに新宿界隈の一癖も二癖もある住人たちをモデルに撮影された集合写真だ。これをきっかけとして、二人の関係はさらに深まり、森山のデビュー写真集『にっぽん劇場写真帖』(室町書房、1968)には寺山が書き下ろしの戯文調の散文詩「芝居小屋の外で観た地獄の四幕」と「新宿お七 浪花節」を寄せることになる。この時期の森山にとって、兄貴分の寺山の影響力は絶大なものがあり、その引力に引きつけられるように、写真表現の深みに降りていこうとしていたといえるだろう。
今回、ポスターハリスギャラリーの笹目浩之と、デザイナーの町口寛の企画で開催された「裏町人生~寺山修司」展は、絶版になっていた寺山のエッセイ集『スポーツ版 裏町人生』(新評社、1972)をもとに森山自身がプリントした写真群から組み上げられたものだ。同時に、町口の装本・デザインで写真集『Daido Moriyama: Terayama』(MATCH and Company)が刊行された。こちらは森山の写真に「拳闘」、「競輪」、「相撲」、「競馬」、「闘犬」をテーマにした寺山の文章の断片を、コラージュ的に組み合わせている。『にっぽん劇場写真帖』、「何かへの旅」などの初期シリーズを中心とする森山の写真と、寺山の湿り気を帯びつつ疾走するテキストとの相性は抜群で、展示も本も見応えのある出来映えに仕上がっていた。町口のデザインワークも、いつもながら、60年代末の気分を見事にすくいとっている。森山と寺山のコラボレーションは、これから先もまだいろいろな可能性を孕んで展開していそうだ。

2016/03/02(水)(飯沢耕太郎)

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