2018年07月15日号
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artscapeレビュー

2016年06月15日号のレビュー/プレビュー

生誕300年記念 若冲展

会期:2016/04/22~2016/05/24

東京都美術館[東京都]

連休中なのでものすごい人。若冲っていつからこんな人気者になったんだ? でも若冲で見るべきものって《動植綵絵》計30幅だけでしょ。動物たちを升目描きにした屏風絵も、石灯籠を点描風に描いた屏風絵も、おもしろいけどしょせんキワモノ。《動植綵絵》だってキワモノといわれるかもしれないが、ここまでキワめたらもういうことない。《動植綵絵》だけ見て帰ったわ。

2016/05/03(火)(村田真)

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首里城、八汐荘

[沖縄県]

船で那覇港に着き、久しぶりに首里城を訪れた。世界遺産の効果、あるいは外国人観光客の増加のせいか、以前よりも来場者だけでなく、復元されたエリアも増えた。そして周囲も赤瓦の建築が目立つようになり、首里城化している。続いて、国際通り近くの八汐荘へ。アトリエ門口がコンペに勝ち、設計したものである。このプロジェクトでは、元妹島事務所の細矢仁と組んでおり、彼がフナキサチコと手がけた沖縄小児保健センターのうねる曲線スラブとガラスを拡大したような建築だった。

写真:左=上から2つ《首里城》、《八汐荘》 右=上から、《首里城》、下2つ《八汐荘》

2016/05/03(火)(五十嵐太郎)

ライアン・マッギンレー「BODY LOUD!」

会期:2016/04/16~2016/07/10

東京オペラシティアートギャラリー[東京都]

1977年、アメリカ・ニュージャージー州ラムジー生まれのライアン・マッギンレーは、2000年代に入ってから頭角をあらわし、2003年にはホイットニー美術館で個展を開催するなど、写真の新世代の旗手と見なされてきた。「ポスト・ティルマンス」の一番手ともいわれ続けてきたのだが、日本での最初の大規模点となる本展を見て、そのことには疑問符をつけざるを得ない。
マッギンレーの撮るあくまでもポジティブな若い男女のヌードは、たしかにアメリカのユース・カルチャーの本質的な部分を掬いとっている。「9.11」以後の社会の不安感、閉塞感に対して、若者たちのポジティブな生命力で対峙するというのは、たしかにひとつの戦略としては成り立つだろう。だが、それがいつまでたっても一本調子、同工異曲のイメージの繰り返しになっていて、ヴォルフガング・ティルマンスのように多層的なレイヤーとして現実世界を捉え返す視点に欠けているのは、あまりにも能天気としか言いようがない。
今回の展示の目玉は、壁一面に「ビニールステッカー」のプリント約500点を貼り巡らした巨大作品「YEARBOOK」(2014)だろう。だが、その圧倒的なスケール感にもかかわらず、そこに写っている男女の姿は、次第に区別がつかなくなり、均質化して見えてくる。まさにインスタグラム的な見え方の極致というべきで、その親しみやすさは、写真に向かってスマートフォンのシャッターをひっきりなしに切っていた観客たちに、大いにアピールするのではないだろうか。だが、おそらくこれらの写真は、会場を出れば、あっという間に忘れ去られてしまうだろう。スマホのデータもそのうち消去されてしまうのではないか。「それでいいのだ」という考え方もあるかもしれないが、「それでいいのか?」という疑問は残る。

2016/05/04(水)(飯沢耕太郎)

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cha_bo絵画展「ミクダヨー」

会期:2016/05/01~2016/05/08

八番館[神奈川県]

黄金町への道すがら入ってみる。初音ミクをモチーフにした絵が100点以上、いや200点はあるかな。小品が中心だが、単なるオタク趣味のイラスト展ではない。もともと初音ミクはヴァーチャルな存在だが、それを実在の人物のようにではなく、3次元の彫刻のように描いてるところがおもしろい。しかもオフィーリア風、点描風、ピカソ風、ヴラマンク風、リキテンスタイン風、岡本太郎風とさまざまなスタイルを借りて、モダンアートにおけるものの見方、捉え方の多様性も提示している。ときにバーバラ・クルーガー風の言葉を配したかと思えば、バーネット・ニューマンの絵を見てるミクもいて、美術の造詣もハンパない。これは見てよかった。ちなみに会場の八番館は初音町にあり、「ミクダヨー」にはうってつけの場所。

2016/05/05(木)(村田真)

野口健吾「Your Life Is Not Your Own」展

会期:2016/04/23~2016/05/15

高架下スタジオ・サイトAギャラリー[神奈川県]

インドとネパールを旅して撮りためた写真と映像の展示。作品は大きく分けて、いま再開発中のネパールのルンビニ(釈迦の生誕地)に取材した映像、さまざまな人が瞑想する姿を長時間露光で捉えたスライドショー、チベット亡命政府のあるダラムサラの人々の画像を20台以上のディスプレイで見せるビデオインスタレーションの3種。いちばん興味深いのは人々が瞑想する写真で、瞑想中だからほとんど目を閉じて(たまに開けてる者もいる)表情もないため、まるで死人のように見える。でもカメラを固定して長時間露光で撮影してるから、どれもわずかにブレて写っている。このブレが彼らの生きてる証ということだ。どうでもいいけど、入口で香を焚くのはいささか陳腐ではないか。

2016/05/05(木)(村田真)

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