2018年06月15日号
次回7月2日更新予定

artscapeレビュー

2016年09月15日号のレビュー/プレビュー

《ザ・リッツ・カールトン京都》

[京都府]

竣工:2014年

日建設計による《ザ・リッツ・カールトン京都》を見学する。ホテルフジタ跡地につくられたもので、最高の立地なのだが、近年さらに厳しくなっている高さ制限に加え、狭く、細長いという不利な敷地条件をもつ。しかし、これを逆手にとって、地下部分に飲食などのスペースをおさめながら徐々に降りて、奥へ奥へと引き込む空間を魅力的に構成している。名和晃平ほか、京都の現代美術家によるアートワークも館内に散りばめる。

2016/08/16(火)(五十嵐太郎)

《希望ヶ丘プロジェクト》

[福島県]

郡山の《希望ヶ丘プロジェクトへ》。東日本大震災の仮設住宅を手がけた経験を踏まえ、解体・移築可能な木造の小規模コミニティモデルを提示する実験施設である。住棟をイメージした難波和彦の縦ログ構法と嶋影健一の在来パネル構法、ギャラリーとしてのはりゅうウッドスタジオによる丸太組構法、集会施設としての八木左千子のWOOD ALC構法、それぞれに個性的な四棟が角地に並び、中庭を囲む。

2016/08/17(水)(五十嵐太郎)

《大木代吉本店》ほか

[福島県]

3.11のときに震災の被害が甚大だった福島県の矢吹町へ。岩堀未来、野上恵子、長尾亜子による《大木代吉本店》(酒蔵復興計画)を見学する。細長い敷地に並ぶ被災した20棟余の状況を調べ、杉板や赤瓦などの特徴を共有・維持しつつ、補強や再構築を行なう。特に商店街に面した店舗は小屋組を残す一方、その下部をほぼ入れ替え、合板の表情に変える。その後、酒蔵近くの《矢吹町みんなの家》へ。長尾+野上+腰原幹雄+矢吹町商工会が手がけたとんがり屋根のパヴィリオンである。屋根裏を見上げると、カラフルな不連続垂木がぎっしり。これでみんなの家はほぼコンプリートした。そばに酒蔵チーム+倉本剛、あるいはスタジオ・クハラ・ヤギらによる災害公営住宅群や太田浩史の集会施設が、道路を挟み展開している。

写真:左上2枚=《大木代吉本店》 左中下=クハラ・ヤギ 左下=酒蔵チーム 右上2枚=《福島矢吹町みんなの家》 右下=《第一区自治会館》

2016/08/17(水)(五十嵐太郎)

《白河データセンター》

[福島県]

日本設計による《白河データセンター》へ。山上に建ち、遠くからはわずかに屋上のソーラーチムニー群が見える。施設の性格上、空調がきわめて重要だが、人工的な空調だけで完結させず、季節によって外気を組み込み、エネルギー負荷をカバーする大胆なシステムをもつ。人のための建築ではなく、随時、拡張可能な情報の倉庫なので、しびれるようなシンプルなプランだ。内部は空間というより、呼吸する巨大な空調機械の中を歩くかのようだ。

2016/08/17(水)(五十嵐太郎)

トーキョーワンダーウォール公募2016 入選作品展 第3期

会期:2016/08/06~2016/08/21

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都、映像]

平面が2回続いて、今回は立体、映像、インスタレーションの入選者8人の作品展。見た目はオッと思わせるけどなにがやりたいのかよくわからない作品が多いなか、見た目は地味だけど納得できる作品が堀園実の《Mirror emotions》だ。表面が凸凹の石膏ボードが16枚並んでいるのだが、よく見ると端のボードは色がついて凹凸もくっきりしているのに、反対側にいくにつれ徐々にボードが白くなり、凹凸もゆるやかになっていく。おそらく木の板に刻みを入れて石膏を流し込み、鋳型を取り、そこに石膏を流し込み……という作業を何度も繰り返したものだろう。彫り、刻み、鋳造するという「彫刻」の原点を確認するかのような作業だ。でもこれって70年代のポストもの派の作家たちがやっていた作業とよく似てね? それしか納得できないのはぼくがポストもの派世代だからですかね。

2016/08/19(金)(村田真)

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