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2016年09月15日号のレビュー/プレビュー

《豊の国情報ライブラリー》ほか

[大分県]

大分の2日目は、まず、磯崎新による《豊の国情報ライブラリー》を訪問する。吹抜けの玄関はミケランジェロによるラウレンツィアーナ図書館前室のオマージュだが、ほかにも閲覧室のデザインからは、アアルト、ワグナー、ブルネレスキ、百柱の間、孤篷庵など、さまざまなイメージを読みとれる。ともあれ、天井はかなり高く、什器の配置でも空間があまり影響されない。力強い建築である。

2016/08/28(日)(五十嵐太郎)

《大分市美術館》

大分市美術館[大分県]

続いて、内井昭蔵による《大分市美術館》へ。チームラボの展覧会を開催中で、映像を使うために、トップライトが閉じているのは当然だが、壁やガラスまでも黒くして、空間がほとんどわからないブラックボックス状態だった。しかし、子どもたちに大人気である。なるほど、これなら、チームラボは2020年東京オリンピックの開会式の演出に参加決定だろう。

2016/08/28(日)(五十嵐太郎)

《富士見カントリークラブハウス》

[大分県]

竣工:1974年

磯崎行脚はさらに続き、《富士見カントリークラブハウス》にて、ゴルフ休みのおじさまたちに混じってランチを食べる。インテリアでは後からの改変もいろいろあるが(上空から見たときの建物の輪郭「?」は変わらないが)、まだ現役で使われている。《岩田学園》と同様、大分市推薦のISOZAKI建築のマークがここにも大きくついていた。

2016/08/28(日)(五十嵐太郎)

《龍岩寺奥院礼堂》

[大分県]

龍岩寺奥之院へ。山道を15分ほど歩いて、岩のくぼみにつくられた懸造の建築を見学できる。現代建築なら絶対に許されない手すりの低さ(というか手すりではなく、下から見上げたときの意匠上の目的だろう)。ただ、もっと長い時間がかかり、ただ見える場所に到達するまでの行程で死ぬような思いをする(実際、毎年骨折したり、死人も出るのだが)《投入堂》の方が感動は大きかった。

2016/08/28(日)(五十嵐太郎)

《小幡記念図書館》ほか

[大分県]

中津市にたどりつき、ゼミ合宿はここで解散。その後、二度目の槇文彦の《小幡記念図書館》へ。あちこちに階段を設け、空間的な見せ場を演出している。隣の大江匡による《木村記念館》は、お金のある時代の現代数寄屋で、いまはなかなかない仕事だろう。1938年の《中津市歴史民俗資料館》は教会風だが、旧図書館らしい。

写真:左上=《小幡記念図書館》 左下=《中津市歴史民俗資料館》 右=《木村記念館》

2016/08/28(日)(五十嵐太郎)

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