2018年04月15日号
次回5月15日更新予定

artscapeレビュー

2016年09月15日号のレビュー/プレビュー

東北大五十嵐研ゼミ合宿《恋する豚研究所》

[千葉県]

竣工:2013年

続いて、同じく福祉楽団とアトリエ・ワンによる《恋する豚研究所》へ。まず2階のレストランで豚しゃぶ定食をいただく。建築の見学と食事がセットになる体験は楽しい。通常のロードサイド施設とは逆に、道路側に建築、奥に駐車場を置く。またヴォリュームを軽減すべく、4つの屋根に分けたヴィラがイメージされている。2階はほかに広場とオフィス、1階は工場であり、創造的に障害者の就業支援を行なう場を創出している。

2016/08/09(火)(五十嵐太郎)

東北大五十嵐研ゼミ合宿《国立歴史民俗博物館》

[千葉県]

午後は研究室で取り組んでいる縄文土器の展示プロジェクトの参考にすべく、佐倉の《国立歴史民俗博物館》を訪問した。あいにくお目当ての古代エリアはリニューアル中だった。展示の手法としては、歴史のセクションよりも、民俗学系のエリアが実験的かつバリエーションも豊かで、攻めているように思われた。ところで、芦原義信の巨大な建築だが、なぜこの場所に、この国立の施設ができたのだろうか。今回そんなことが気になった。

2016/08/09(火)(五十嵐太郎)

須田一政『SUDDENLY』

発行所:Place M

発行日:2016年5月16日

須田一政は2015年に敗血症を患っていた。化膿連鎖球菌に侵され、炎症の程度を示すCRP値は最高40に達した(基準値は0.3以下)という。その「いつ心臓が停止しても不思議ではない状態」から帰還したあとに、体調回復のために入院していた病院の病室で、繰り返し写真を見直し、「選び抜いた」近作を集成したのが本書である。
まさに「生死の境」に去来し、うごめきつつ姿を変えていくようなイメージ群が、写真集のページから溢れ出すように並んでいる。このところの須田の仕事ぶりには鬼気迫るものがあるが、この写真集でもそのただならぬ凄みに、絶句してしまうような写真が目白押しだった。特に目につくのは、液晶テレビの画面を写している写真である。須田は洋画が好きなようで、それらの一場面が断片的な映像として写しとられている。ほかにも、看板やポスターの一部を切り取った写真も多い。須田は写真集のあとがきで、スタンリー・キューブリックの「妄想や実現しなかった夢を現実と同じくらい重要なものとして扱おうとした」という言葉を引用している。このような、映像(まさに「妄想や実現しなかった夢」)を現実と等価のものとして扱う姿勢は、初期の頃からあったのだが、それがより研ぎ澄まされ、融通無碍なものになりつつある。
同年齢の(76歳)の荒木経惟もそうなのだが、須田の近作を見ていると、老いをネガティブにとらえるのではなく、むしろ何かを呼び覚ましていく契機としてとらえ直していこうとしているように見える。幽冥の世界を自由に行き来する表現が、輪郭をとりつつある。

2016/08/10(飯沢耕太郎)

あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅

会期:2016/08/11~2016/10/23

名古屋市美術館[愛知県]

あいちトリエンナーレ2016の内覧会へ。前回は芸術監督を務めたために企画側だったが、今回は純粋に鑑賞者のサイドである。複数の都市とジャンルにまたがり、また規模が大きいために、どこで何を、またいつどこでイベントがあるか、確かに初見だと相当に複雑かもしれない。名古屋市美術館は、1、2階ともに開放的に空間を活用する。正面のネットを屋外ではりめぐらせる作品は、岡崎、豊橋でも展開していた。

写真:左=《名古屋市美術館》 右=上から、ジョアン・モデ、ライ・ヅーシャン

2016/08/10(水)(五十嵐太郎)

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あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅

会期:2016/08/11~2016/10/23

長者町会場[愛知県]

続いて、長者町エリアへ。打開連合設計事務所による伏見駅ブループリントやリゴ23の壁画など、前回の作品が残っている。このエリアは、さらにおしゃれなカフェが増え、その分、アートを展示できる会場数は少し減ったようだ。逆に学校やレクチャーなどのプログラムベースの作品も目立つ。白川昌生はまちの歴史を取材しつつ、世界史とつなぐ物語と作品をつむぐ。

写真:左=上から、喫茶クラウン、大木裕之 右=上から、ベロタクシー、白川昌生

2016/08/10(水)(五十嵐太郎)

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