2018年04月15日号
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artscapeレビュー

2017年03月01日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:The Legacy of EXPO’70 建築の記憶─大阪万博の建築

会期:2017/03/25~2017/07/04

EXPO’70パビリオン[大阪府]

高度成長が頂点を迎える時期に開催され、戦後日本の記念碑というべき一大イベントだった1970年大阪万博(日本万国博覧会)。数々のパビリオンが立ち並び、さながら未来都市のようだった会場は、現在は公園となり(万博記念公園)、往時をしのぶ建築は《太陽の塔》などわずかしか残っていない。そのうちのひとつ《EXPO’70パビリオン》(元・鉄鋼館)で、大阪万博の建築をテーマにした企画展が行なわれる。展示物は、パビリオンの設計図、構想模型の写真、約14年の月日をかけて完成したエキスポタワー模型の初披露と、同タワーが解体される過程を記録した写真225点など。大阪万博は建築史的にも重要で、エアドームや吊構造などの新技術がふんだんに導入された。また、建築の価値観が重厚長大から軽く、小さく、動くものへとシフトするきっかけになったともいう。本展は、そうしたパビリオン建築の記憶をたどるとともに、現在に引き継がれているものを確認する機会となるだろう。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:江之子島芸術の日々2017「他の方法」

会期:2017/03/10~2017/03/19

大阪府立江之子島文化芸術創造センター、フラッグスタジオ、マークスタジオ[大阪府]

いまや日本全国に波及した感のある「地域アート」。それを肯定も否定もせず、しかし「他の方法」もあるのではないかと提案するのが本展である。会場は、公立のアートセンターと2棟のマンション。少なからぬ日本人が住処とする住宅環境に作品を配し、日常を新たな視点から見つめ直すきっかけにしようというのだ。参加作家は、佃弘樹、木村充伯、彦坂敏昭、村田宗一郎、杉山卓朗など、東西の若手作家10名。彼らが制作したさまざまなジャンル、傾向の作品を生活の場に挿入することにより、従来の地域アートが標榜してきた「町おこし」や「観客参加」とは異なるアートと日常の関係を問い直そうというのだ。展覧会自体はもちろん、会場ツアーやワークショップなど関連イベントも充実しており、新タイプの都市型アートプロジェクトとして注目したい。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:咲くやこの花コレクション 三宅砂織個展

会期:2017/03/10~2017/03/25

SAIギャラリー[大阪府]

スナップ写真をモデルにモノクロ反転したネガのドローイングを制作し、それをコンタクトプリントした作品で知られる三宅砂織。VOCA賞(2010年)咲くやこの花賞美術部門(2011年)、京都府文化賞奨励賞(2016年)など華々しい受賞歴を誇り、昨年には文化庁新進芸術家海外研修制度でパリに1年間滞在していた彼女が、帰国後初の個展を開催する。三宅の作品に描かれているのは、誰もが経験したことがあるような日常の一コマが多い。また、身近な他人のフォトアルバムを覗いたときのような、間接的な記憶の情景も登場する。それらを通して感じるのは、確かだと思っていた自分の記憶や視覚が、じつは非常に曖昧で代替可能なものかもしれないという不安だ。その一方で、謎めいたイメージにずるずると引き込まれてしまうもう一人の自分も実感できる。本展に新作がどの程度含まれるのか、本稿執筆時点では定かでないが、彼女の作品を未見の人には打ってつけの機会となるだろう。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

世界のブックデザイン2015-16 feat.造本装幀コンクール50回記念展

会期:2016/12/03~2017/03/05

印刷博物館P&Pギャラリー[東京都]

サイト:http://www.printing-museum.org/index.html
毎年ドイツで開催されている「世界で最も美しい本コンクール2016」および日本、ドイツ、オランダ、オーストリア、カナダ、中国のブックデザイン賞入選作品約180点を紹介する展覧会。例年と同様、各国の入選作品は手にとって見ることができる。展覧会がはじまって3ヶ月近くが経過し、作品によってはかなり傷みが出てるものもある。もともと不特定多数の閲覧を想定していない特殊な造本の作品はともかく、子供向けの絵本で本文がバラバラになってしまっているのはブックデザインコンクールの入賞作としていかがなものだろうか。だが、このように、装幀の表面的な美しさだけではなく、書籍を手にとって質感、重量感、造本の構造も見ることができるのは本展ならではだ。
会場全体の印象としては、奇抜な本よりも普通に美しい本が多い。とくに中国の本は昨年よりもさらに洗練されてきているという印象を受ける。これが中国のブックデザイン全体で生じていることなのか、コンクールの傾向なのかは分からないが、欧米的なデザインの価値観に近づいているように見えるのだ。デザインのグローバライゼイションといってもよいかもしれない。その一方で「世界で最も美しい本コンクール2016」で金賞・銅賞を受賞した二つの中国の本はいずれも奇抜な造りで、選者のエキゾチシズムを想像させる。
本展を企画した寺本美奈子・印刷博物館学芸員が注目する本のひとつは、「世界で最も美しい本コンクール2016」で金の活字賞を受賞したオランダの『Other Evidence: Blindfold』(Titus Knegtel)。この本は、ボスニア・ヘルツェゴビナ東部の町スレブレニツァで1995年に生じた大量虐殺の犠牲者を記憶するためもの。『Other Evidence』と題された分冊には犠牲者の資料、『Blindfold』と題された分冊にはそれぞれの検視報告が綴られている。中には遺体の写真も含まれているが、2色刷の資料、定型フォーマットの報告書は、生じた事実を感情的になることなく淡々と記録する。1枚1枚バラバラの紙に穴を開け割ピンで束ねた装幀は、これからも犠牲者の記録が追加されるであろうことを予想させる。
このほか、今回は日本の造本装幀コンクール50回を記念して過去の受賞作から約50点の書籍も展示されている(こちらは手にとって見ることはできない)。原弘、亀倉雄策、杉浦康平、中垣信夫らの手による美しい装幀が並ぶ。[新川徳彦]


会場風景

2017/02/23(木)(SYNK)

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