2018年10月15日号
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artscapeレビュー

2017年06月15日号のレビュー/プレビュー

リニア・鉄道館

[愛知県]

すぐ近くのリニア・鉄道館へ。明るいエントランスから、まず暗闇の空間になったシンボル展示で、汽車、新幹線、リニアが並ぶ。ここを抜けると、大空間に数多くの車両が展示されている。やはり、実物が展示されると、モノと歴史の重みが圧倒的だ。何よりも別のメディアによって変換されることで記号化・抽象化されないために、情報量が多い。筆者にとっても懐かしい昭和の車両も見かける。鉄道ファンなら、もっと感激するのだろう。そして無駄なく、そつなく、スマートに解いた建築である。調べたら、やはり日建設計の仕事だった。

2017/05/01(月)(五十嵐太郎)

LEGOLAND Japan

[愛知県]

取材で名古屋レゴランドへ。目的は、宮島、神戸、大阪、京都、名古屋、富士山、東京、札幌、登別などのランドマークがミニチュアとして集合する中央のミニランドだ。が、中銀カプセル、オーガニックビル、TASAKI銀座など、一般の観光客は訪れないけれど、建築ガイトに掲載されるような建築通のセレクションもあって興味深い。レゴは組積造なので、日本の木造建築や曲線を多用した現代建築だと、ラインの凸凹が目立つ。その結果、全体の印象は立体ピクセル模型と言うべきもので、現実の空間に映画『マトリックス』のようなデータ世界が侵入したかのように思える。

2017/05/01(月)(五十嵐太郎)

テリ・ワイフェンバック「The May Sun」

会期:2017/04/09~2017/08/29

IZU PHOTO MUSEUM[静岡県]

会場の入り口近くに、テリ・ワイフェンバックのデビュー写真集である『In Your Dreams』(Nazraeli Press, 1997)の図版ページが、そのまま展示されていた。この写真集を洋書屋で見て、その独特の色使いとレンズのボケの効果を活かした繊細な自然の描写にすっかり魅了され、すぐに購入したことを思い出した。以来、彼女は数々の著作を出版し、日本でもその作品を見る機会も多くなってきた。だが、今回IZU PHOTO MUSEUMでの展示を見て、そのチャーミングな作品世界の新鮮さが、まったく失われていないことに驚かされた。
今回の展覧会は、表題作の「The May Sun」と「The Politics of Flowers」の2作品を中心に構成されている。19世紀アメリカの詩人ウォレス・スティーブンスの詩句に由来するという「The May Sun」は、ワイフェンバックが2015年にIZU PHOTO MUSEUMに1ヵ月余り滞在して制作したシリーズである。美術館の周辺の森や、咲き匂う花々を撮影した写真が並ぶ。木洩れ陽の光、蜘蛛の糸や枝先に結ぶ露、不思議に心騒がせる雲の姿などを、例によって細やかな手つきで、みずみずしい画像に変容させている。ワイフェンバックの作品を見ていると、彼女にとって自然は単に観察の対象であるだけではなく、同化し、包み込まれていく心の拠り所なのではないかと思えてくる。そのソフトフォーカスの描写は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのピクトリアリズム(絵画主義)の写真家たちの自然観に通じるところがありそうだ。
一方「The Politics of Flowers」(2005)はワイフェンバックにしては、珍しい手法で制作された作品である。2003年の最愛の母親の死をきっかけにして、彼女は19世紀にパレスチナ地方の花を押し花にして貼り付けた小冊子に興味を惹かれるようになった。そこにおさめられた花々を複写し、ピグメント・プリントという特殊な技法で、モノクロームの画像として定着している。それらはパレスチナというつねに戦渦の絶えない苦難の地の花々をベースにして、母親の記憶を重ね合わせた感動的な作品に仕上がっていた。
ほかに動画と静止画像を組み合わせた意欲的な新作《柿田川湧水》(2015)、複数の画像を横に連ねた《富士山御殿場口》(2015)も出品されている。やや意外なことに、国内の美術館で彼女の作品が本格的に展示されるのは初めてなのだという。もっと大規模な回顧展も企画されていいのではないだろうか。

2017/05/02(火)(飯沢耕太郎)

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アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国

会期:2017/04/29~2017/06/18

東京ステーションギャラリー[東京都]

正直、よくあるアール・ブリュットだと、なめていた。彼が精神病院で30年かけて描いた膨大な細密画は想像以上の内容だった。もはや宗教画に近いと言うべきか。自らを作曲家と呼んでいたが、楽譜や建築も頻出するのが興味深い。小池都知事が石原色を消すかのように、トーキョーワンダーサイトから手を引き、急にアール・ブリュットに力を入れ始めたが、アドルフならば、行政や商業に回収されるアール・ブリュットにはならないだろう。なにしろ彼は世界征服を企んでいたのだから! そして晩年の作品は、コラージュと言葉によるアートに変化している。

2017/05/02(火)(五十嵐太郎)

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ニュー”コロニー/アイランド” 3~わたしのかなたへ~

会期:2017/03/28~2017/06/25

京阪電車なにわ橋駅 アートエリアB1[大阪府]

研究者である吉森保のコンセプトをもとに、人体内部で起きるミクロな出来事をdot architectsとアーティストのやんツーが、公園の遊具的な装置とバーチャルリアリティを体験できるゴーグルによって空間・可視化する。学際的なテーマを公園のメタファーで表現し、来場者の身体も積極的に関わることを要請する展示だった。

2017/05/02(火)(五十嵐太郎)

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