2018年12月01日号
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artscapeレビュー

2017年09月15日号のレビュー/プレビュー

《丘の礼拝堂》

[長崎県]

JCDデザインアワードで2位だった百枝優による《丘の礼拝堂》へ。あぐりの丘高原ホテルのウエディング・チャペルだ。矩形のプランに対し、室内では頬杖をのばした4本の柱が立ちあがり、その回転・縮小したものを縦に積みながら、3層に展開する。これが抽象化された森のイメージを感じさせ、装飾的なデザインにも見えるのだが、構造から導かれた幾何学的な構成はお見事だ。そして宗教建築の歴史にも接続しているのが興味深い。

2017/07/17(月)(五十嵐太郎)

《ナガサキピースミュージアム》《旧香港上海銀行長崎支店記念館》

[長崎県]

古市徹雄が設計した《ナガサキピースミュージアム》は、三角形のコンクリートのヴォリュームをもつ。アプローチは水に反射する光が美しい。ギャラリーは小さいが、大胆に扉を開けることができ、外部のステージと一体になる仕掛けだった。上部はオフィス兼物置である。訪問したときは、原爆による被災物を3Dスキャンした作品を展示していた。ちょうど巨大な客船が横に係留していただけに、ピースミュージアムの小ささが際立つ。そのはす向かいには、辰野と確執が伝えられる下田菊太郎の《旧香港上海銀行長崎支店記念館》が建つ。列柱の外観はマッシブ、内部はトップライトや繊細な部屋もある。港湾都市として近代に栄えた小樽でも、明治時代の銀行やオフィスが残っているが、貴重な近代建築だ。
上、右下=《ナガサキピースミュージアム》 左下2枚=《旧香港上海銀行長崎支店記念館》

2017/07/17(月)(五十嵐太郎)

出島《表門橋》

[長崎県]

出島へ。一部は保存した近代建築を残しつつ、全体としてはテーマパーク的に復元したエリアになっており、やり過ぎと思う場面もなくはないが、かつてと同じ場所において、同じ空間のスケールを感じられることには大きな意味があるだろう。特にカピタン部屋の和洋折衷ぶりは、オランダ側に残された資料に基づく復元だったが、本当にこれが存在したのか?と思うようなインパクトだった。なお、出島にもローラン・ネイによるユニークな構造の《表門橋》が設置されており、これは近くオープンする予定である。

写真:上=出島の風景 左上=出島の模型 右下2枚=カピタンの部屋 左下=《表門橋》

2017/07/17(月)(五十嵐太郎)

《長崎港ターミナルビル》

[長崎県]

長崎へ移動する。日本建築大賞の審査で長崎県立美術館を訪れて以来だから、10年ぶりくらいだろうか。海沿いでは、高松伸によるアイコン建築というべき《長崎港ターミナルビル》、北川原温やマイケル・ロトンディによる倉庫が並ぶが、隣接するyou meタウンの方が圧倒的なヴォリュームで、面白くもないデザインの巨大な商業施設が、これらのポストモダン建築を隠しているのは、なんとも皮肉な風景のように思われた。

写真:上2枚=《長崎港ターミナルビル》 左下=北川原温による倉庫 右下=マイケル・ロトンディによる倉庫とyou meタウン

2017/07/17(月)(五十嵐太郎)

《わいわいコンテナ2》

[佐賀県]

西村浩が関わる《わいわいコンテナ2》へ。店舗やシェアオフィスのほかが入る、実験的なプロジェクトだが、こちらも祝日はカフェがあいにくの休みで、アクティビティは確認できなかった。が、なるほど現地を訪れると、周囲はあちこちにコインパーキングが点在し、街並みが虫食い状になっていることがわかる。これに一矢報いるのが、わいわいコンテナのそもそもの始まりだった。なお、すぐ背後に昭和を色濃く残す屋内マーケットが残っていて、これがなんとも趣深い空間だった。

2017/07/17(月)(五十嵐太郎)

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