2017年12月15日号
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artscapeレビュー

2017年10月01日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:児玉幸子展覧会「眩惑について─Éblouissant」

会期:2017/10/06~2017/11/26

清課堂[京都府]

「磁性流体」と呼ばれる液体金属を用いて、まるで生き物のように変形する彫刻作品を制作する児玉幸子。彼女が用いる素材は、酸化鉄のナノ粒子が溶け込んだコロイド溶液。磁性流体は磁力をかけるとトゲのように変形する性質があり、児玉は電磁石の磁力をコンピューターで制御することにより、独自の「磁性流体彫刻」をつくり出すことに成功した。本展では、素材と動きと光による「眩惑」をテーマに、《モルフォタワー》(画像)をはじめとする10作品を展示。未発表作品も含まれるので、既知の人にとっても出かけがいのある個展となるだろう。なお、本展会場の清課堂は老舗の錫屋で、店舗に陳列されている商品や伝統的な京町や建築も見応えがある。また、本展の初日には京都市内の多くの画廊やアートスポットで「ニュイ・ブランシュ京都2017」というイベントが行なわれ、本展もこの日だけは午後10時まで開廊している。夜の京都観光も兼ねて出かけるのもいいだろう。

2017/09/20(水)(小吹隆文)

プレビュー:福岡道雄 つくらない彫刻家

会期:2017/10/28~2017/12/24

国立国際美術館[大阪府]

大阪を拠点に反芸術的な姿勢で制作を貫いた彫刻家、福岡道雄(1936~)。彼の約60年にわたる活動を98作品で振り返る回顧展が、美術館で初めて開催される。筆者にとって福岡道雄といえば、真っ黒な石の立方体に単語や文をびっしりと彫った作品や、ある一場面を切り取って具象的に表わした情景彫刻が思い浮かぶ。特に前者は「つくらないことでつくる」作品であり、表現すること自体への葛藤や問いかけに満ちていた。本展では1950年代から2000年代までの彼の作品が一堂に並ぶ。筆者が知らない1950年代から80年代の作品が見られるので(もちろん一部の作品は美術館や画廊で見ているが)、自分なりの作家像を見定める千載一遇の機会となるだろう。福岡は関西を代表する美術家のひとりだが、今まで美術館で大規模な個展が行なわれなかったため、一般的な認知度が低い。本展を期にその状況が変わることを期待している。

2017/09/20(水)(小吹隆文)

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