2017年11月15日号
次回12月1日更新予定

artscapeレビュー

2017年11月01日号のレビュー/プレビュー

杉戸洋 とんぼ と のりしろ

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会期:2017/07/25~2017/10/09

東京都美術館 ギャラリーA・B・C[東京都]

画家なのだけど、ただ絵を展示するのではなく、あいちトリエンナーレ2013での名古屋市美術館、宮城県立美術館、豊田市美術館に続いて、今回も建築空間そのものを批評的に読みとくインスタレーションである。すなわち、図と地が反転するような仕掛けであり、必然的に何度も見ていたはずの前川國男による建築のテクスチャーを改めてじっくり観察し、ディテールを再発見するきっかけになった。

2017/08/19(土)(五十嵐太郎)

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徳正寺《矩庵》

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[京都府]

京都の徳正寺を訪問した。住居部分の奥、庭の隅に持ち上げられた藤森照信の《矩庵》がある。もともと外の便所があったところで、阪神淡路の震災で壊れ、それを契機に藤森にとって初の独立茶室がつくられた。いまでこそ、彼は数多くの茶室を手がけているが、これ以前は《ニラハウス》の内部のロフトにある茶室しかなく、これが初めての独立した茶室建築となった。大きな開口や椅子の導入など、藤森茶室の原則が最初からもう採用されている。なお、施主は縄文建築集団のメンバーでもある。

2017/08/26(土)(五十嵐太郎)

東アジア文化都市2017京都 アジア回廊 現代美術展

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会期:2017/08/19~2017/10/15

二条城・京都芸術センター[京都府]

東アジア文化都市2017京都の「アジア回廊 現代美術展」をまわる。京都芸術センターの会場では、建築に介入する今村源、堀尾貞治。ヤン・フードン、ルー・ヤンは迫力の映像、中村裕太はホコラのリサーチである。特に中原浩大の幼少時や小中高の作品群が膨大にあって驚かされる。二条城の会場は、まずチェ・ジョンファの作品が点在していた。そして東南隅櫓に久門剛史の揺れる作品、台所では谷澤紗和子、ヒスロム、西京人ら。庭には蔡国強の迫力のインスタレーションを置く。日本において、文化財にこれだけ現代アートを絡ませたのはめずらしいだろう。へ・シャンユのアンフォルムな作品には、ニヤリとさせられる。このエリアは広域に作品が点在し、かなり歩く。もっとも、ここで一番すごいのは、やはり二条城の御殿そのものの建築と室内画だった。おかげで久しぶりに内部空間を体験したが、記憶していたよりも、かなり装飾が多い。そして解説の文章も、空間と絵画の関係への言及が増えたように思う。なお、外周廊下の格天井や壁画は、明治期に天皇が使うようになって権威づけに足されたものである。

写真:左上から=堀尾貞治+現場芸術集団「空気」、ルー・ヤン、中原浩大、チェ・ジョンファ、久門剛史 右上から=谷澤紗和子、蔡国強、へ・シャンユ、二条城(2枚)

2017/08/26(土)(五十嵐太郎)

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建築Symposion──日独仏の若手建築家による──「かげろう集落~日独仏の建築家が提案する小さな公共空間群」

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会期:2017/08/26~2017/09/03

京都芸術センター グラウンド[京都府]

監修として関わった京都芸術センターの「かげろう集落~日独仏の建築家が提案する小さな公共空間群」展がスタートした。これは日本、ドイツ、フランス、デンマークに拠点を置く6組の建築家がかつての校庭にパヴィリオン群をつくり、来場者にその使い方を自由に想像させる試みである。わずか9日間だけ出現する仮説の場だが、だからこそ可能な空間の実験を行ない、われわれにいかなる想像力を喚起させるかを問う。格子状のルーフ、中庭をおおうテープ、ユーモラスな丸太群、地上の切妻屋根、水をまく塔、穴あきパネルの遊び場、横断する廊下、そして音を出す悦楽の山車。ポエティックな建築の断片で構成された、はかない蜉蝣/陽炎の集落が、形態と機能の関係を切断する。オープニング・パーティでは、日射しが厳しくない夕方、人があちこちに散らばり居場所をみつける雰囲気がよい。地域のパフォーマーたちがパヴィリオン群を活用して演じたのだが、空間の可能性を引き出す手腕はお見事である。また子どもや地元のおじさんも自然とそこに混ざり、魅力的な場になっていた。

写真:左上=加藤比呂史《人々をこの場所を織りこむ、落書き》 左下=スヴェン・プファイファー《危ない遊び場》 右上から=ドットアーキテクツ《町屋の滑り屋根》、ルードヴィヒ・ハイムバッハ《形のない悦楽のフロート》、加藤比呂史《京雑草の庭》

2017/08/26(土)(五十嵐太郎)

ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

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会期:2017/06/10~2017/10/15

名古屋ボストン美術館[愛知県]

フランス革命後、いかにパリジェンヌのモードが広がり、どのように展開し、また海を隔てたアメリカにも影響を与えたかを、アートでたどる企画だ。それにしても、頭の上に戦艦までのせるなど、18世紀末に流行した盛り盛りのヘアスタイルの図解には驚かされた。これは優雅というようなものではなく、ヤンキーバロックに近いデザインである。

2017/08/31(木)(五十嵐太郎)

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