artscapeレビュー

2018年07月15日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:したため#6『文字移植』

会期:2018/08/11~2018/08/14

こまばアゴラ劇場[東京都]

「したため」は、京都を拠点に、演出家の和田ながらが主宰する演劇ユニット。和田は、2015年に創作コンペティション「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5で最優秀作品賞を受賞、2018年に「こまばアゴラ演出家コンクール」で観客賞を受賞するなど、気鋭の演出家である。2016年初演のしたための代表作『文字移植』が、待望の再演とともに初の東京公演を果たす。ドイツ語と日本語を往還しながら創作する小説家、多和田葉子の初期短編『文字移植』を演劇、すなわち俳優の身体へと「移植」した本作は、美術家の林葵衣による優れた舞台美術の力とあいまって、テクストが内包する諸要素―翻訳の(不)可能性、異言語への越境、言語の物質的抵抗、それに伴う身体的苦痛や違和、ポストコロニアリズム、男性中心主義への批評―を鮮やかに浮かび上がらせた。また、『文字移植』の姉妹編とも言える『ディクテ』では、コリアン・ディアスポラの作家テレサ・ハッキョン・チャによる、多言語と多様な文体のコラージュからなる実験的なテクストを上演台本に用いて、同様の主題群にさらなるアプローチを試みている。『ディクテ』という、難解かつ「言語(母語の使用)」「他者を体内に容れる」という演劇にとって本質的な問題をはらんだテクストを通過したしたためが、どのように深化した再演を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。


公式ページ:http://shitatame.blogspot.com/

関連記事

したため#4『文字移植』|高嶋慈:artscapeレビュー

2018/06/30(土)(高嶋慈)

カタログ&ブックス│2018年7月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

会田誠展「GROUND NO PLAN」図録

制作・発行:公益財団法人 大林財団
編集:柴田直美
発行日:2018年7月
定価:非売品
サイズ:B5判、ソフトカバー、48ページ
デザイン:加藤賢策(LABORATORIES)

2018年2月に東京・青山通りの特設会場で開催された会田誠氏による個展「GROUND NO PLAN」の図録。本展は「都市のヴィジョン」というテーマのもと、会田氏による都市論や都市開発プランが示され、建築・都市論の専門家の間などでも大きな話題を呼んだ。その図録である本書では豊富な会場の記録写真とともに、作家のプレゼンテーションの模様を採録したテキストを収録。

関連記事

ビル地下に出現した「原っぱ」──会田誠展「GROUND NO PLAN」(2018年03月15日号フォーカス)| 村田真

彫刻1:空白の時代、戦時の彫刻/この国の彫刻のはじまりへ

著者:小田原のどか、平瀬礼太、田中修二、千葉慶、金子一夫、迫内祐司、髙橋幸次、青木野枝、椎名則明、白川昌生、金井直、小谷元彦、山田亮太
制作・発行:トポフィル
編集:小田原のどか
発行日:2018年6月30日
定価:2,700円(税抜)
サイズ:四六判、ハードカバー、544ページ

彫刻とは何か?── 「空白の時代、戦時の彫刻」と「この国の彫刻のはじまりへ」の2つの特集を柱に、8本の書き下ろし論考、2人の彫刻家へのインタビュー、鼎談、詩を収録。 この国が孤立主義と軍国主義に落ちこんでいった時代と併走し、国家権力の流れを映し出した「彫刻」に光を当てる。 彫刻をめぐる叢書「彫刻 SCULPTURE」創刊号(次刊は2019年夏、刊行予定)。

関連記事

彫刻を見よ——公共空間の女性裸体像をめぐって(2018年04月15日号フォーカス)| 小田原のどか

インスタグラムと現代視覚文化論 レフ・マノヴィッチのカルチュラル・アナリティクスをめぐって

著者:レフ・マノヴィッチ
共訳・編著:久保田晃弘、きりとりめでる
発行:ビー・エヌ・エヌ新社
発行日:2018年6月26日
定価:3,500円(税抜)
サイズ:A5判、ソフトカバー、376ページ
収録論文:レフ・マノヴィッチ、甲斐義明、芝尾幸一郎、筒井淳也、永田康祐、ばるぼら、前川修、増田展大
図書設計・組版:杉山峻輔、桑田亜由子

現代の文化において大きな影響力を持ちつつも、これまでは写真論の対象としてほとんど語られてこなかったインスタグラム。『ニューメディアの言語』を著し話題を呼んだメディア理論家のレフ・マノヴィッチは、2012年から2015年にかけてインスタグラムにアップロードされた約1500万枚もの画像をデータ分析にかけることで、新しい写真論を築き上げました。

ブラジル先住民の椅子

著者:中沢新一、樋田豊次郎
発行:美術出版社
発行日:2018年7月20日
定価:2,223円(税抜)
サイズ:16×22cm、168ページ

東京都庭園美術館開催の「ブラジル先住民の椅子」展図録を書籍化! (中略)
日本初公開! 先住民の『椅子』だけに絞ったコレクション
ベイ・コレクションは、ブラジル先住民の椅子のみに特化した、世界最大規模のコレクションといえます。2018年現在、27民族渡る、350点を超える数の椅子のコレクションを所有。本展は、ブラジル国外で公開される初めての機会となります。メイナクの人びと手がけた動物を象った椅子を中心に、選りすぐった17民族からなる椅子コレクションをご紹介します。

[引用部分:Amazonより]
中崎透×札幌×スキー「シュプールを追いかけて」記録集

編集:中崎透
発行:札幌国際芸術祭実行委員会、札幌市
発行日:2018年2月20日
定価:1,852円(税抜)
サイズ:B5判、ソフトカバー、132ページ
デザイン:乗田菜々美

札幌国際芸術祭2017にて開催された現代美術作家・中崎透の展覧会「シュプールを追いかけて」の記録集。
「中崎は、冬や雪を楽しむ北国の生活、都市の発展とオリンピックとの関係、 札幌におけるスキーの歴史の一側面に着目しました。
展覧会では、スキーや雪山、1972年の札幌オリンピック冬季大会にまつわる展示物、リサーチにより集めたスキー板をはじめとした冬の道具を、直線の展示空間を生かし、年代を追って並べつつ、それにまつわる関係者へのインタビューを掲示することで、その道具や作品の年代にあった生活や人、時代を想起させます。生活する上でやっかいな雪と共存し、冬と常に向き合いながら成長をしてきた札幌という都市が持つ人間の工夫や遊び心の軌跡を、雪景色に刻まれたシュプールをたどるように体験できる空間を創出します」。

[引用部分:展覧会詳細ページより]
菅 木志雄 広げられた自空 l 分けられた指空性

編集・発行:小山登美夫ギャラリー
発行日:2018年5月25日
定価:4,167円(税込)
サイズ:A4変形、ドイツ装、136ページ(うち、カラー88ページ)、日英バイリンガル
寄稿:片岡真実(森美術館チーフキュレーター)
デザイン:加藤賢策、大井香苗(LABORATORIES)

『菅 木志雄 広げられた自空 l 分けられた指空性』展覧会カタログを小山登美夫ギャラリーより刊行致します。本展の最新作、及び昨年2017年に開催した個展「分けられた指空性」の作品、展示風景画像を掲載。また本作品集の為に、森美術館チーフキュレーター片岡真実氏に寄稿頂きました。

感性は感動しない─美術の見方、批評の作法

著者:椹木野衣
発行:世界思想社
発行日:2018年7月31日
定価:1,700円(税抜)
サイズ:四六版、ソフトカバー、208ページ

子供の絵はなぜいいの?絵はどうやって見てどう評価すればいい?美術批評家・椹木野衣は、どのようにつくられ、どんなふうに仕事をして生きているのか?絵の見方と批評の作法を伝授し、批評の根となる人生を描く。著者初の書き下ろしエッセイ集。

2018/07/15(artscape編集部)

2018年07月15日号の
artscapeレビュー