artscapeレビュー

2010年02月15日号のレビュー/プレビュー

ニコラ・ビュフ「タワワップ」

会期:2010/01/12~2010/02/06

メグミオギタギャラリー[東京都]

銀座5丁目の極小スペースから、昭和通りを越えた2丁目の広大なスペースを確保。地下だから天井も1.5倍くらい高くなったので、壁全体の面積は以前より1ケタ増えた印象だ。その壁面全体を使ったドローイング。白い壁面に黒で大まかにペイントし、その上に白いチョークのようなもので装飾的イメージを描いていくという手法だ。古今東西のイコンが混じりあい、地と図のバランスも絶妙。作者は東京藝大に通うフランス人で、アニメオタクかと思ったら、日本に限らず幅広くアニメやマンガなどの図像を吸収しているらしい。これはすごい。すごいけど、壁面ドローイングに力を注ぎすぎて売り物がまだあまりないらしい。

2010/01/21(木)

金子奈央 展

会期:2010/01/08~2010/01/23

ギャラリーQ[東京都]

無表情で大きな目が特徴的な女性像。フラットな描き方も、ヘアスタイルや衣装も、蕗谷虹児や蔦谷喜一ら昭和初期の古きよき時代の少女画を思い出させる。作者は今年25歳。線画だけの「ぬりえ」を売り出したら売れるんじゃないか。

2010/01/21(木)

松山隼 展──今日のお祈り

会期:2010/01/06~2010/01/29

INAXギャラリー2[東京都]

去年見た東北芸術工科大の卒業・修了制作展のなかでほとんど唯一覚えていたのが、松山隼。相変わらず分厚く絵具を盛り上げて白いシャツの人物を描いている。どれも手を胸の前で合わせているので、祈っているポーズらしい。モチーフも技法もほとんど決まってるため、あとはサイズを変えるとか、支持体をパネルにするか綿にするかとか、ちょっと立体にしてみるとか、いろいろ試しているようだ。彼もまだ今年25歳だが、この先50年、一生これを続けていけばスゴイ。

2010/01/21(木)

銅金裕司「6本目の指@ASK?2010」

会期:2010/01/12~2010/01/23

ASK? Art Space Kimura[東京都]

手前に接木したサボテンの鉢が置かれ、奥には、型取りした指を接木のように親指と人さし指のあいだに置いて、6本目の指を体感してもらう机。6本目の指、必要か。足には必要ないわな。それより、会場に流れていた伊東ゆかりの「小指の思い出」が耳から離れませんが。

2010/01/21(木)

近藤竜男 展

会期:2010/01/12~2010/01/30

ギャルリー東京ユマニテ[東京都]

近藤竜男といえば、『美術手帖』や『芸術新潮』にニューヨークからのアートリポートを連載していた人。もちろん画家としても知ってはいたが、まとめて作品を見たのは帰国された翌年2002年、練馬区立美術館での回顧展のときだった。その作品は、モノクロームのグラデーションの上にハードエッジの線を置いた抽象画。手の痕跡を残さないシャープな仕上げが、不満といえば不満だった。ところが今回の作品は、下描きが見えていたり、グラデーションに塗りムラがあったり、絵具の滴りや筆のかすれも隠さなかったり、以前には見られなかったラフさが目立つ。その分ぬくもりが感じられるともいえるが、昔の作品を知ってるものにとっては、老いのせいではと心配にもなる。今年77歳。

2010/01/21(木)

2010年02月15日号の
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