2018年06月15日号
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artscapeレビュー

2011年02月15日号のレビュー/プレビュー

ARCHI & BD - LA VILLE DESSIN E

会期:2010/06/09~2011/01/02

建築・文化財博物館[パリ]

「ARCHI & BD」、すなわちケンチクと漫画である。時代の流れに沿って、漫画における建築表現とマンガ的な建築表現を平行しながら展示していた。前者に関しては、およそ100年に及ぶ、ヨーロッパの漫画の歴史、漫画によく登場したブリュッセル万博のパヴィリオン、アメコミ、そしてラストは日本や中国の漫画などを紹介する。一方、後者は、おそらく建築のプレゼンテーションに初めて漫画を用いたアーキグラムのほか、サイトのSF的なドローイング、OMAやチュミの映像作品、漫画をルイジアナ美術館の展示に活用したジャン・ヌーヴェル、ポルザンパルクによる漫画の博物館などの事例だ。是非、日本にも巡回して欲しい展覧会である。また近年は日本の公立美術館でも、漫画やアニメーションを取り上げることは、さほど珍しくなくなったから、独自にこうした企画を実現したらよいのではないかと思う。

2010/12/30(木)(五十嵐太郎)

「European Comic Strip Treasures」展

会期:2010/10/05~2011/03/06

ベルギー漫画博物館[ブリュッセル]

ヴィクトル・オルタの近代建築をリノベーションした漫画博物館を再訪した。アールヌーヴォーの空間がバンド・デシネ(漫画)と結びつくのは、不思議な組み合わせに思えるが、例えば、シュイッテンの作品には、この時代の建築様式が頻出しており、意外に相性がいい。同館では、漫画やアニメの制作法から始まって、ベルギーを代表する漫画家ごとの紹介、雑誌の歴史、スタジオを再現した企画展など、漫画をいかに展示するか、さまざまな工夫がなされている。改めて、日本の漫画は目の表現が特徴的であることがよくわかる。ちなみに、ブリッセルでは、街のあちこちで有名漫画のグラフィティも展開している。

2010/12/31(金)(五十嵐太郎)

「Mondrian / De Stijl(モンドリアン/デステイル)」展

会期:2010/12/01~2011/03/21

ポンピドゥー・センター[パリ]

展覧会の前半は、モンドリアンのよく知られたスタイルの絵に到達するまでの道程を、1911年から1942年まで、年度ごとの部屋をたどりながら、詳しく紹介する。当然だが、いきなり到達したわけではなく、試行錯誤のあとがうかがえて興味深い。後半は、建築や家具を含めたデザイン運動の流れから、同時代をトレースしていく。こうして一同に並べていくと、ドゥースブルフやファン・デル・レックなど、同じようなスタイルでも、個別の差異やうまい下手が読みとれる。またモンドリアンのアトリエ、リートフェルトの展示空間、キースラーの作品などを1/1のスケールで再現展示していたのも嬉しい。

2011/01/01(土)(五十嵐太郎)

小谷元彦展:幽体の知覚

会期:2010/11/27~2011/02/27

森美術館[東京都]

あけましておめでとうございます。と、すでに2月に入ってこれを書いている。元旦は森美術館に初詣して、近くの朝日神社で小谷展を見る。反対ですね。でも神社仏閣教会でこの展示を見ても違和感がなかったかもしれない。それほど「あちら側」を感じさせる作品群だった。ちょうど1年前の「医学と芸術展」を思い出したのも僕だけじゃないだろう。実は小谷展は11月の内覧会でも見ていたが、そのときは急いで一周しただけだったのであらためてじっくり見ようと思っていたのに、今日は子ども連れなのでやっぱりじっくり見られなかった。でも子どもにもちゃんと伝わってきたようですね。ちなみに、某大学で「なんでもいいから展覧会を見て感想を書け」というレポート課題を出したら、約100人中5人が小谷展について書いてきた。これはBunkamuraの「モネとジヴェルニーの画家たち」、横浜美術館の「ドガ展」に次ぐ3位で、国立新美術館の「ゴッホ展」と同数だった。印象派と肩を並べる人気なのだ。もっと意外だったのがその感想で、難解だとか理解できないといった意見はほとんどなく、「楽しめた」「メッセージがダイレクトに伝わってくる」という意見が多かったこと。若い世代にはちゃんと伝わっているのだ。

2011/01/01(土)(村田真)

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「CHARLES GARNIER UN ARCHITECTE POUR UN EMPIRE(シャルル・ガルニエ:帝国の建築家)」展

会期:2010/10/26~2011/01/09

エコール・デ・ボザール[パリ]

まずエントランスの脇において、シャルル・ガルニエの代表作、オペラ座が登場する映画として、『オペラ座の怪人』(1925)やオードリー・ヘップバーン主演の『パリの恋人(ファニー・フェイス)』(1957)のシーンが紹介される。続いて階段を登ると、オペラ座以前、すなわち彼がまだ20歳台のとき、エコール・デ・ボザールにおいてローマ賞を獲得したディプロマ図面、イスタンブールなどの旅行のスケッチが美しい。そしてガルニエによる戯画が意外におちゃめである。これらの漫画タッチから伊東忠太を思いだす。最後は、オペラ座を中心とした展示スペース。オペラ座では、建築の空間形式だけではなく、壁や天井をおおう装飾に関しても多くの精緻なドローイングが描かれている。

2011/01/02(日)(五十嵐太郎)

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