A・スティーグリッツがニューヨーク5番街291番地の屋根裏部屋に開いたギャラリー。写真家で出版も手がけていたスティーグリッツは、絵画に倣ったピクトリアリズムの写真を展示する場として、1905年に写真家エドワード・スタイケンとともに開設、1907年に展示対象を絵画にも広げた。当初はリトル・ギャラリー・オブ・フォト=ゼセッション(写真分離派)と名付けられていたが、所在地の番地にちなみ「291」と呼ばれるようになる。戦争下のヨーロッパから作品を搬送することが困難になり17年に閉廊するまで、アメリカ国内の美術家の援助を行なうと同時に、A・ロダン、H・マティス、F・ピカビア、C・ブランクーシらの作品を初めてアメリカに紹介する。15年、16年に『291』誌を発行。スティーグリッツ自身も実現に尽力したアーモリー・ショーとともに、ヨーロッパの前衛美術を知らしめる重要な役割を果たした。また、児童画や黒人芸術を取り上げた最初の主要な展覧会も行なった。このように、「291」は単なる画廊以上のものであり、M・ハートレーは「世界最大の小さな部屋」と呼んでいる。
(垣田有香)
関連URL
●スタイケン http://www.decordova.org/decordova/exhibit/steichen.html
●ロダン http://www.rodinmuseum.org/visit.html
●マティス http://www.artloft.com/matisse.htm
●ブランクーシ http://www.ocaiw.com/bracusi.htm
●アーモリー・ショー http://xroads.virginia.edu/~MUSEUM/Armory/entrance.html
|