人体の形態を数値化して表現する方法。健康診断などで身長、体重、座高が数値化されるのは最も基本的な人体測定だが、進化論、解剖学、遺伝学などの立場からなされる人体測定は、当然のことながら諸々の骨格をさまざまな測定器を用いてより詳細に数値化する。また数値化される対象があくまでも人体の形態に限定され、生理的な事項(脈拍、血圧、体温)などを含まないのも特徴。R・マルティンによって標準化された計測基準としては、正視した直立位の人体の周径、弧長、角度、容積、重量、比重などが測定の対象であり、とりわけ頭部の骨格の諸々の測定が重視される。人体測定が発達を遂げてきたのは、諸々の医学、生物学上の、とりわけ医療や健康管理の必要によってだが、近年では人間工学や家具やファッションといった観点からの測定も重視されるようになり、デザインとの接点が問われるようになった。さまざまな人工臓器が開発され、知覚の可能性が拡張された昨今では、人体測定法もまた新たな段階を迎えつつある。
(暮沢剛巳)
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