イタリア語で「明暗」の意味。美術用語としてはそれぞれ異なる以下の三つを指すが、最も一般的に用いられるのは(1)である。
(1)漸進的諧調により三次元性を表す明暗効果、ないし技法としての明暗法。古典古代からルネサンス期において重要な造形要素であり、レオナルドによって深く追求された。近世以降最も明暗効果を効果的に駆使した作家としてレンブラントが挙げられる。
(2)「モノクロミー(単彩明暗画)」とほぼ同義語で、一色を用いた絵画やドローイング・着彩紙でハイライトに白色を塗ったもの。彫刻を模す「グリザイユ」描法や陶器表面にカメオを模す「カマイユ」技法を含む。
(3)木版画技法の一種。ハイライト部を白抜きにし、中間部と陰影、輪郭のためにそれぞれ明度の異なる3色を用いて重ね刷りにしたもの。15−18世紀にイタリア・ドイツで多く用いられ、16世紀にL・クラナッハ(父)やH・ゴルチウスらによって技法として普及した。
(三本松倫代)
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