平林薫、松井知恵、前本彰子、吉澤美香ら、1980年代半ばに登場した一群の若手女性作家たちを指す。彼女らの存在は、1986年8月号の『美術手帖』が「美術の超少女たち」と題する特集を組んだことによって注目を集めた。同特集によると、これらの作家たちは「女性であることのハンディキャップを感じさせない」点で共通しているそうだが、全般に作風が華やかで、またインスタレーションを多用するといったごく漠然とした共通項以外には、造形上の共通点をもっておらず、またフェミニズムなどによる理論的な擁護を受けていたわけでもなかった。今にして思えば、時間の経過とともに忘れ去られてしまった観のある「超少女」は、当時の若手女性作家をプロモートするためのキャッチコピー的な面が強い動向だったと言えよう。また「女性でありながら、女性性を必要としない」その作風は、現在では「超少女」にカテゴライズされなかった同世代の女性作家、例えば福田美蘭や白井美穂の作品がより高い水準で実現しているように思われる。
(暮沢剛巳)
関連URL
●平林薫 http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_b/who/list/list38.html
●福田美蘭 http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-fukuda.html
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