仕事としてではなく自分自身のために芸術や学問を「楽しむ人」を意味する。語源はイタリア語の「dilettare(楽しませる、楽しむ)」。ディレッタンティズムとは、そうした享受の仕方や態度を指す。日本語では「好事家」あるいは「芸術愛好家」などと訳されることが多い。すでにイタリアで17世紀に語句としての使用が確認されている。イギリスでは18世紀前半、古代美術愛好を唱えて設立された「ディレッタント協会」によって一般に広まった。「ディレッタント」と呼ばれる人々はおおむね、特権的な学芸知識と富を背景に芸術品を自由気儘に享受できる立場にあった。そのため啓蒙主義者や芸術家からの反発も受けやすく、しだいにこの呼称は専門家の学術的探求に対する素人の個人的な趣味道楽といった側面が強調され、蔑称的性格が強まっていった。より広義の「芸術愛好」という意味を持つ語としては「amature(アマチュア)」も使われる。
(陳岡めぐみ)
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