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構想力 Einbildungskraft


その語源であるドイツ語のEinbildungskraftは英語やフランス語のimaginationに相当し、本来なら「想像力」と訳されるべき言葉だが、カント研究のコンテクストに限って「構想力」と訳される慣例がある。カントがバウムガルテンの『形而上学』から着想を得たという、人間の一認識能力を「構想力」と訳す慣習がいつ、誰の手によって定着したのかは判然としないのだが、1929年刊行の岩波文庫版『純粋理性批判』(天野貞祐訳)には早くも「構想力」という訳語が頻出し、この慣習が古くから存在したことを示している。もっとも、日本の思想史の文脈で言えば、「構想力」から真っ先に想起されるのは三木清の『構想力の論理』(岩波書店、1939−1946)であろう。この未完の大作において、三木は「新しいタイプの人間」の創出や「人間再生」の可能性を模索したが、その規範は最終的には「悟性と感性とを結合する」構想力の機能へと求められることとなった。そして近年、こうした三木のカント解釈はH・アーレントやM・メルロ=ポンティのそれとの類似が指摘されるに至っているが、従来日本のカント研究は圧倒的に『純粋理性批判』を対象とするのが主流であったため、今後は『判断力批判』を軸とした「構想力」の美的考察が待望される。

(暮沢剛巳)

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