一般には、19世紀末以後顕著になってきた科学方法論のひとつをいうが、建築・工芸・デザインでは、その形態を機能との密接な関係において決定する立場をいう。その際、H・グリーノウの「美は機能の約束である」や、L・H・サリヴァンの「形態は機能に従う」という言葉が、この思想の先駆的なものとされる。A・ロースの無装飾主義を受け、1920−30年代の近代建築運動において支配的な思潮となる。初期の機能主義者たちが、機械自身からそのインスピレーションの多くを得たため、機械の形が賛美されるようになったり、「効率のよい機能は自動的に美しい形を生み出す」という大きな誤解が広まるなど、一般建築のデザインの質を低下させるとともに、しばしば経済主義にすりかえられる弊害も生じた。だが、昨今のポストモダニズム建築の過剰な装飾が疑問視され始めると、徐々にではあるが、再び機能主義時代のシンプルで幾何学的な作品が再考される動きが出始めている。
(福若郷子)
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